目薬の老舗、ロートが「変えるもの」「変えないもの」

2016年10月10日

目薬の発売から107年目を迎えた今年。2016年10月、長年追求し続けようやくたどり着いた、ロートの最高峰目薬(※1)「Vロートプレミアム」が誕生しました。老舗目薬メーカーの威信をかけ、「お客さまの期待を超える目薬を…」と開発に取り組んだ同商品。今回は新商品の販売に至るまでの苦労やこだわりを、商品企画部マネージャーの角田康之(つのだやすゆき)が語ります。

時代の変化と共に変わりゆく「目の悩み」に応える目薬を

▲商品企画部マネージャーの角田康之(つのだやすゆき)

「人によって目の悩みはさまざまですが、年配の方から若い方まで、どの年代の方からも悩みとしてあがる症状は“疲れ目”です。特に、2000年代に入りパソコンが普及したのを契機に、目を取り巻く環境は大きく変わってきています。それゆえに『疲れ目』という症状の実感度合いをより重篤にとらえ、悩んでいる人が増えてきた実感もありました。そんな時代になったからこそ、その症状をいかに解決するかが重要であると考えたのです。その頃から常に『悩みの深い疲れ目にもしっかり効く、最高峰の目薬を作りたい』と、強く思っていました」(角田、以下同)

2008年、3種類の抗炎症成分をはじめとした11種類の有効成分を配合した「ロートV11」を発売。「疲れ目に一番効く目薬を」との思いは、ここで一度実を結びます。しかし、その後のスマートフォンの登場・普及に伴い、人々の目は四六時中デジタル機器を見つめている状態に。さらにブルーライトの影響を受けた疲れ目の症状は、より複雑で深刻なものになっていったのです。

「『ロートV11』は僕たちにとっても自信作でしたし、当時の最高傑作であることは間違いありません。ただ、時代の変化と共に発売当初とはお客さまの抱える目の疾患や悩みも変わってきている。特に今はその原因も複雑化しているからこそ、あらゆるアプローチでその症状を解決することが必要。それなら、その時代に最も適した目薬を提案するのがロートの使命ではないかと考えたのです」

創業以来、長年に渡って目薬の研究を続けてきたロートの知識や技術をすべて注ぎ込み、どんな複雑化した疲れ目症状をも解決できるような、まったく新しい商品開発への挑戦が始まりました。

▲3種類の抗炎症成分をはじめ、合計11種類の有効成分を配合した「ロートV11」。

筋肉の酷使、ドライアイ(目の乾き)、炎症など、さまざまな要素が絡み合って起こる現代人の疲れ目。複雑化する目の悩みに、多角的にアプローチするにはどうすべきか…試行錯誤の末に生まれたのが、今回発売となった「Vロートプレミアム」でした。国内OTC医薬品の目薬として最多(※2)の、12種類の有効成分を配合した同商品ですが、「そもそも、最初から『12種類の成分が入っている目薬を作ろう』と考えていた訳ではない」と言います。

「お客さまの悩みや症状に合わせてどういう目薬が必要で、どの成分が有効かを組み合わせていった結果、12種類の成分が必要だという結論に至りました。
とはいえ、実際に12種類の有効成分を配合した製品を作るのは、決して簡単なことではありません。医薬品としては、成分を安定させることが絶対条件です。すべての成分が安定して力を発揮できるバランスを見つけるまでに、多くの試作品を作りました」

長年目薬の研究を続けてきたロートの知見をもってしても、「これならいけそうだ」と見通しがたつまでに、従来品の倍以上の時間と3倍以上の試作品が必要だったと角田は言います。

「お客さまの期待を超える目薬」とはなにか?

こうして製品化への道が開けた「Vロートプレミアム」。しかしここで長年研究に携わってきた先輩社員から、とある疑問が投げかけられました。
これは「つらい疲れ目をなんとかして欲しい」と願うお客さまの期待を超えている目薬なのか、「Vロート」ブランドの冠をつけるのにふさわしいのか、と。

「ロートの商品開発において『お客さまの期待を超えていく』ことは、常に意識しています。2016年2月に新CI『NEVER SAY NEVER』が発表されました。もっともっと高みに向かってあきらめないチャレンジをしていく覚悟ですが、その前のCIである『よろこビックリ誓約会社』も私は大好きなスローガンで、CIが新しく生まれ変わっても、この「よろこビックリ」の精神は商品作りの根底にずっとあるものだと思っています。

お客さまに喜んでいただくのは当たり前で、そこにプラスアルファ『ビックリ』も感じていただきたい。お客さまの期待を超えた先に、『ビックリ』が生まれるのだと思っています。そして、この2つが共存する商品を作ってこそのロート製薬だとも。ましてや今回は50年以上続き、長年のファンも多い「Vロート」ブランドを継承する商品です。
『お客さまの期待を超えているか?』と問いかけた先輩社員も、目薬開発の長い歴史の中で常にお客さまに喜びと驚きが共存した商品づくりを意識し続け、お客さまにご支持していただいてきた自負があるからこその問いかけだったのでしょう」

薬として効く目薬はできそうだ。そのうえで期待を超えるにはこれ以上、なにが必要か?ヒントはこれまでの開発の歴史にありました。ロートは1909年に第1号となる「ロート目薬」の発売を開始。当初から『シマズ、イタマズ』のキャッチコピーがあるように、有効成分へのこだわりはもちろんのこと、目薬をさしたときの使用感やさし心地にまでこだわってきました。さし心地へのこだわりは気持ちよくご使用いただくことはもちろん、その気持ち良さが「効いた!」とお客さまに効果実感を持っていただくためのこだわりでした。このこだわりこそ、「お客さまの期待を超える」部分ではないか?完成目前までいった成分設計を一からやり直してまで実現したかったのは、お客さまの期待を超え「ビックリ」を届けられるさし心地でした。

お客さま支持される商品から得た「もみほぐすようなさし心地」というヒント

お客さまの期待を超えるさし心地を表現しようと試みた「Vロートプレミアム」開発。発想のヒントになったのは、2002年に発売された「アイストレッチ」でした。

「発売当時、お客さまから『まるで目玉をぎゅっと掴んでもみほぐしてくれるようなさし心地だ。これは効いている気がする!』という声をいただいたんです。それを思い出し、凝り固まった目をもみほぐすような感覚を『Vロートプレミアム』で実現しようと考えました」

単に「気持ちいい」という感覚だけではなく、その気持ちよさが「効いた!」という効果実感に繋がること。「このさし心地がVロートだよね!」と思っていただける、効き目を感じられるさし心地であるか。まさに、ロート最高峰の目薬にふさわしい「さし心地」を追求しなければ、と改めて思い直したのです。

▲2002年に発売された、凝り固まった目の筋肉にアプローチする「アイストレッチ」。

「パッと目の奥まで染み渡り、じんわりと包み込むように優しく広がる。まるで目の奥をギュッともみほぐすようなさし心地」を実現するため、清涼化剤だけではなく、アロマオイルに使われることもある精油の配合に踏み切りました。精油を配合した薬液は気泡が発生しやすく、通常よりも生産に時間と手間がかかるため、敬遠されることの多い成分です。目薬に精油を入れるという発想はあまりないかもしれません。しかし、効き目を感じられるさし心地を実現するためには、ぜひともチャレンジしたいテーマでした。

「昔からロートには、『他社がやっていないことをやる』という風土があります。そのぶん苦労することも多いですが、それを実現できたときにはきっとお客さまに喜んでいただけるはず。その気持ちを形にできるまで、商品作りに妥協することはありませんね」

こうした紆余曲折と改良を重ね、ようやくロートの目薬の最高峰といえる、「Vロートプレミアム」が完成したのです。

「あくまで最高峰というのは、現時点での話です。近年、4KテレビやVR技術など、映像やデジタル機器の進化が目覚ましいですよね。当然ながら、それらを見る『目』の環境や負担も変わっていくため、今とはまた違うアプローチが必要になるはずです。有効成分の持っている可能性がまだまだあるように、開発にもゴールはありません。刻々と変わるお客さまの目の悩みに向き合っていくためには、ロートがやれることはまだまだたくさんあると思っています」

(※1:ロート内目薬最多成分数配合)
(※2:一般用眼科用薬製造販売承認基準内最多有効成分配合)

取材・文:芳賀直美+プレスラボ

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