ロート製薬×コクヨ【第1回】 「健康」の先に目指すのは、海外の潮流を受ける「ウェルビーイング」の考え方

イメージ

2016年4月27日

今年2月に発表した「Never Say Never」という新CIには、「世の中の“健康”のため、困難にもめげず、常識の枠を超えてチャレンジし続ける」という強い思いが込められています。世の中の健康を考える会社として、まずは社員自らが心身共に健康でいることが重要だと考えるロート製薬は、新たに「健康経営推進グループ」を設立。健康を実現する働き方や、自立した「健康人財」の育成に向けて挑戦を始めています。
そんななか、世界中のオフィストレンドや健康概念を研究している、コクヨの「WORK SIGHT」に出会い、大きな刺激を受けたのだとか。今回は、同メディアの編集長である山下さんを迎え、コクヨとロート製薬それぞれの視点からの「健康」について対談を行いました。

【登場人物プロフィール】

イメージ

▲左から山下正太郎さん(コクヨ)、大野琴さん(ロート製薬)、坂手秀章さん(ロート製薬)

コクヨ株式会社 WORKSIGHT編集長/ワークスタイル研究所 主幹研究員
山下正太郎(やました・しょうたろう)


2007年入社。戦略的ワークスタイル実現のためのコンセプトワークやチェンジマネジメントなどのコンサルティング業務に従事。コンサルティングを手がけた複数の企業が「日経ニューオフィス賞」を受賞。2011年にグローバルで成長する企業の働き方とオフィス環境を解いたメディア『WORKSIGHT(ワークサイト)』を創刊し、未来の働き方と学び方を考える研究機関「WORKSIGHT LAB.(現ワークスタイル研究所)」を立上げ、研究的観点からもワークプレイスのあり方を模索している。


ロート製薬株式会社 人事総務部 健康経営推進グループ リーダー
坂手秀章(さかて ひであき)


2008年入社。自ら「健康的な働き方」を考え、実践・行動できる社員の育成をめざして、日々の健康増進施策の企画・立案からオフィス環境・制度改革に至るまで、幅広く活動中。前任はマーケティング(商品企画)部門に在籍し、男性化粧品を担当。2013年にはメンズブランドの立ち上げ等を行った。


ロート製薬株式会社 人事総務部 健康経営推進グループ/研究開発本部 製品開発部
大野琴(おおの こと)


2008年入社。スキンケア製品の開発を行うと同時に、健康的な働き方や生活、美容に関して正しい知識を持ち、自ら選択できる社員で溢れた会社にすべく、日々邁進中。入社当初からエイジングに興味があり、肌を健やかにすることにこだわって多岐に渡る製剤開発を行ってきた。

自律的に健康管理ができる「健康人財」を生みだす

イメージ

坂手秀章(以下、坂手):お会いできて光栄です。

山下正太郎(以下、山下):こちらこそ、今回お話できるのを楽しみにしていました。「PALETAS」「兼業解禁」など、今まさに企業革新されているんだろうなということが傍目にも感じられて。「健康経営」を推進されているとのことですが、具体的にどういった取り組みをされているのですか?

坂手:まず「健康」を定義すると、「健康診断の項目がすべてA」「メンタルの不調を感じていない」という状態はもちろん「健康」であることにちがいはありません。しかし、私たちが目指す「健康」はその先を行くものだと考えています。毎日を健康的にいきいきと過ごせるようになれば、単純に楽しいだけではなく、「自身をより成長させたい」「社会に貢献していきたい」と、前向きな思考ができるようになる。その状態こそが、私たちが目指す「健康」だと思うのです。

山下:たしかに、既存の意味での健康管理でいえば、日本は世界でもトップクラスですもんね。日本のように従業員のために毎年健康診断を行っている国は珍しいです。

イメージ

坂手:健康経営の取り組みが本格化する以前からも、毎朝のラジオ体操や毎年の体力測定、「健康100日プロジェクト」など、社員の健康のためにいろいろなことを行ってきました。けれども会社として「社員を健康にしてあげる」のではなく、やはり社員自らが「心身ともに自律した健康管理ができる」人になるため、制度や環境をサポートすることが大切だと思っています。私たちは心身ともに自律した健康管理ができ、なおかつ周囲にもアドバイスできるような人のことを「健康人財」と呼んでいるんですね。

山下:なるほど、おもしろい。

坂手:いくら健康で「病気になったことがない」といっても、連日連夜残業するような時間管理しかできなければ、長い目で見たときに幸せではないし、健康な状態ではありませんよね。
ですから、健康経営推進グループが目指しているのは「人づくり」なんです。「健康人財の育成」を柱に活動を始めたばかりですが、5年後にはなくなっていてもいい部署だと思っているんです(笑)。わざわざ働きかけなくても自走できる人材が社内に増えていく、そしてゆくゆくは社会を支えていけるような「健康人財」を輩出していく、というのが理想です。

「ウェルビーイング」が世界のワークスタイルの潮流

イメージ

山下:共感する部分がとても多いです。日本での健康管理の考え方は「病気や不調で生産性が落ちている『−(マイナス)状態』を毎年の健康診断で早めに発見して、『0(ゼロ=通常)状態』に戻す」という概念ですよね。けれども海外のオフィスで働く方々を取材してきて感じるのは、率先して「ウェルビーイング」に取り組んでいる企業が増えているということ。

大野琴(以下、大野):先日、「WORKSIGHT」でも特集されていましたね。

イメージ

▲特集「ウェルビーイング・アット・ワーク やっぱり健康的に働きたい!」

山下:「ウェルビーイング」というのはまさに「0から上」を目指す考え方ですよね。「健康であることを当たりまえとして、心の豊かさを求める」というか。象徴的な例を挙げると、世界で最もイノベーションが生まれている場所はおそらくアメリカの西海岸だと思うのですが、企業同士が優秀な人材を奪い合う「タレント・ウォー(タレント戦争)」と呼ばれる状況があるんですね。昔だったら転職の判断基準はお金でしたが、今は必ずしもそうではないんです。

大野:最近はどういった傾向があるのですか?

山下:特に「ミレニアル世代」と呼ばれる1980年代から2000年にかけて生まれた若い世代に顕著なのですが、一度も好景気を体験したことがないためか、金銭的な成功にあまり興味がない。「稼ぐための仕事に人生を捧げる」というより、「社会的に意義のある仕事をしたい」とか、「自分の人生を自分でマネジメントしたい」という意識が強いのです。住居や食など、より生活に根ざしたものに投資して、人生を豊かなものにしたいというのがニーズとしてあるんですよね。また、子育てや介護に積極的に取り組むなど、社員の多様化も進んでいます。

イメージ

山下:一方で企業側としても、不安定な世界経済の中を勝ち残っていくことを考えたとき、いかに優秀な人材にパフォーマンスを発揮してもらうかが重要なポイントになってきている。そういった複合的な要因から、企業が社員の生活と仕事を自律的にコントロールできる施策として、「ウェルビーイング」が位置づけられてきたのだと思います。

イメージ

ロート製薬が目指す「健康経営」のあり方は、海外の潮流にも近いようです。次回は海外のオフィスの事例を踏まえつつ、ロート製薬とコクヨが思い描く「理想の健康オフィス像」を探ります。

文:大矢幸世+プレスラボ

あわせて読みたいオススメ記事