ガンバ大阪・遠藤保仁選手に学ぶ!自立を促すリーダーシップ

2016年10月28日

ロート製薬は2003年からオフィシャルパートナーとしてガンバ大阪をサポートしています。クラブ史上初のJ2降格を経験した2013年。1年でJ1に返り咲いた2014年には再びJ2降格圏内という苦境に立たされながらも、怒涛の追い上げを見せ、J1昇格1年目としては史上初の国内三冠を達成したガンバ大阪。その不屈の精神は、ロート製薬の企業理念である”NEVER SAY NEVER”にも重なります。ガンバ大阪の中心人物であり、2013年からキャプテンを務める遠藤保仁選手は、チームをどう導き、目標達成に向かって尽力しているのでしょうか。常に広い視野で物事を捉え、冷静な判断を行う遠藤選手に話を聞きました。

自分で気づき、行動することが強さになる

-チームとしての団結力を高めながら、個々の能力を最大限に発揮するため、キャプテンとして取り組んでいることはありますか?

僕自身、あまり縛りつけるのは好きじゃないんですよ。プロである以上、カンタンに手を差し伸べてもらえるほど甘い世界ではありませんし、自分で気づいて自分で行動しないと、結局跳ね返ってくるのも自分です。もちろん相談されればアドバイスしますし、チームが悪い状態にある時には、雰囲気を感じ取って話をすることはありますが、基本的には野放しですね。「先輩の背中を見て育つ」じゃないですけど、上の世代がしっかりしているので、「こいつ、大丈夫かな」みたいな選手はあまりいないんですよ。アドバイスを待つより、自主的に考えて動くことが個人の能力を高めるために不可欠ですし、それがチームの団結力、強さにもつながると思います。

-キャプテンとして、選手だけでなく、監督やコーチとのやり取りもあると思います。ある種、橋渡し的な役割も意識しているのではないでしょうか。

監督とはよく話しています。若い選手はなかなか監督に意見を言えませんから。会社でも、新入社員に対して「ちょっと社長に意見言ってこい」というのは無理じゃないですか。それはもちろん僕の仕事でもありますし、チームのことを考えると選手の意見を監督にぶつけるのは非常に大切なことなんです。時には言い争いみたいになることもありますが、それはサッカーでは当たり前のことですし、あとは監督が判断すること。みんな、「チームが勝つためにどうすればいいのか」を考えてのことですから、それはきちんと伝えなくてはと思っています。

-遠藤選手が2001年にガンバへ加入してからチームを見てきた中で、変わらないことはなんでしょうか。

これは関西のチームだからかもしれませんが、全員がツッコめるんですよね。笑いがあるというか、「関西的なノリ」があるとチームも明るくなりますし、特に新しく入ってきた選手や若手はなじみやすい環境だと思います。僕が2001年に加入した時もすんなりなじめました。コミュニケーションが円滑になることで、年齢や立場に捉われず率直な意見を言い合える。それはガンバのいい部分であり、変えてはいけないところだと思います。

-逆に変わってきたことはありますか?

2001年当時はなかなか優勝争いにはからめないチームでしたが、そこからの数年で優勝争いに食い込む戦いができるようになってきました。そうなると選手はもちろん、スタッフも含めて「どうすれば優勝できるか」「ビッククラブになれるか」という考え方に変わっていきます。目標設定が非常に高くなってきたんですね。

やはり勝利を重ねたり、実際に優勝したりすると、「常に優勝を目指さなくてはならない」というプレッシャーが毎シーズン生まれます。それがいい意味で当たり前になってきている。そこは意識的にも大きく違いますし、新スタジアムができたことで選手のなかにも、これだけ整った環境があるんだから結果を出さないと…という思いはあると思いますよ。そのぶん、一人ひとりが担う部分も大きいですが。

-「名実ともにビッグクラブになる」という目標を置く中で、勝ち続けるために必要なことはなんでしょうか。

僕らとしては、試合で100%を出し切る能力がないと勝てませんし、その100%を伸ばすために、日々の練習から意識を高めてやらなければならない。あらゆるところを伸ばさなきゃいけないなと思います。それと同時に、観客は多ければ多いほどいい雰囲気で試合ができますし、4万人収容の市立吹田サッカースタジアムに、毎試合スタンドを埋めるほどの観客が来てくれれば、本当の意味でのビッククラブになっていく。そのためにどうすればいいのかを、フロントやスタッフも含めて考えていかなくてはなりませんし、全員が目指した先にその目標が達成できるのかなと思います。

負けから目をそらさず、多くのことを学ぶ

-遠藤選手ご自身は非常に視野が広く、瞬時に状況を判断して、時に大胆な発想でチャンスを生み出すプレースタイルが持ち味だと思うのですが、その発想はどこから生まれるのでしょうか。

基本的な技術を磨くということに尽きますね。サッカーって、相手にパスを読まれないように目線でフェイントをかけたり、ドリブルの時も取られないようにフェイントをかけたり、ある種「だましあい」のスポーツなんですよ。最近はやっていませんが、たとえば「コロコロPK」の場合だとキーパーが飛ぶ方向の逆に蹴れば、強く蹴る必要もない。結果は大胆なプレーに見えるかも知れませんが、大切なのは状況をギリギリまで見る目と、瞬時に判断することです。これが相手にとって、予想外なプレーとつながります。

-そういう意味では、選手や周りの状況をしっかりと見きわめたうえで的確なアドバイスを行うことが、遠藤選手ならではのリーダーシップなのかもしれませんね。

アドバイスというよりは、ヒントを与えるという感じですね。僕の考えが100%正しいとは思っていないですし、選手一人ひとりによって考え方も違えば、見ている景色も違う。状況によって導き出される答えも異なるので、ヒントを与えてその選手に判断してもらいます。「それは違うだろ」と否定したことは、プロになってから一度もありませんね。たまたま結果が伴わなかっただけですから。

-選手それぞれが考えることで、チーム内でも役割分担ができているのでしょうか。

そうかもしれません。ビシッと怒る選手もいれば、淡々とこなす選手もいますし、中にはムードメーカーになってくれる選手もいる。いい意味での役割分担はあると思います。

-シーズンを通して、いい時もあれば、なかなか結果を出せない局面もあるかと思います。そういった状況を打破するためには、なにが起点になるのでしょうか。

負けから学べることがたくさんあるんです。しっかりと分析をして自分に、あるいはチームになにが足りなかったのかを理解し、そこから目をそらさないことが重要なことだと思います。自分もチームも力を出し切って、それでも負ける時は負けるんですよ。そこで「なぜ負けたか」をしっかりと見直すのが重要なこと。それをミーティングで共有したり、一人ひとりが持ち帰って考えたりすることもあります。プロである以上、勝つために足りなかった部分を補って、それぞれが努力をするのは当然のことだと思います。

高い目標を達成するのに必要なのは、どんな状況も楽しむ心

-今回、ガンバ大阪とロート製薬とのコラボ企画では、”NEVER SAY NEVER For…”に続く言葉として「何事も楽しむ」と書いてもらいました。この言葉にはどんな意味が込められているのでしょうか。

楽しめない状態にあるのは、「やらされている感」が出ているということだと思うんです。何事も自分ごととして、やっている本人がいちばん楽しまなければ、高い目標を達成できません。それに、自分たち自身が楽しんでいるような試合をできれば、見ている方々の99%くらいは楽しんでもらえるのではないかな、と。そういう意味では、一瞬一瞬を楽しみながら、目標に向かってやっていくのが、僕の中では非常に重要なことです。

僕らの場合はサッカーですが、仕事に置きかえても「事業の成功のために、何をしなきゃいけないか」ということを、毎日苦痛の中で考えているようでは、思うように進まないんじゃないですかね。もちろん、楽しくない時もありますよ。怒られているのに楽しめる人なんていないですから。でもその時に「なぜ怒られているか」を理解することが重要。どうやったら良いプレーができるか、良い結果が出せるか、自主的に考えて改善する。その過程を自分で楽しみながら努力する姿が、個人の成長にも周りにも良い影響を与えるのではないでしょうか。

-チームとして、今後目指していきたいビジョンはありますか?

やはり勝つ試合をお見せしたいですし、泥くさくてもいいので勝って勝って勝ちまくるチームになりたいですね。今Jリーグの全加盟クラブ中で、獲得タイトル数は2位ですが、1位の鹿島とはかなり離されています。なんだかんだ言って、やはりタイトル数でクラブの「格」が決まりますし、もっとタイトルを増やして、鹿島を追い抜けるようにがんばっていきたいと考えています。あとはやはり、選手と現場のスタッフだけではなかなかいい結果を出すのは難しいので、フロントとも手を取り合ってより良いクラブにしていきたい。サッカー選手を目指す子たちに「あのクラブに行きたい」と思ってもらえるような、誰からも憧れられるようなクラブにしていきたいです。

数々のビッグマッチで輝いてきた遠藤選手。「試合で100%を出し切り、その100%を伸ばす努力をする」という言葉に、常に進化しつづけるプロとしての姿勢を感じました。選手一人ひとりの自主性を尊重し、「自ら考え行動する」チームづくりが、揺るぎない力につながっているのでしょう。ロート製薬では遠藤選手をはじめ、チーム一丸となって戦うガンバ大阪をサポートし、ともに更なる高みを目指していきたいと思います。


取材・文:大矢幸世+プレスラボ
写真:笹木 祐美

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