女川の町民と一緒に「健康なまちづくり」に挑む

2017年11月13日

2017年10月9日、宮城県女川町。町の交流スペースである「まちなか交流館」にて、「健康をつくる町民のつどい」と題された町民イベントが開催されていました。野菜の食べ方をはじめとする食育教室や、体組成計による体のチェックなど――。それらの一部を企画・運営していたのが、ロート製薬です。2016年6月より、ロートは「健康な町、女川町」を目指してさまざまな活動に取り組んでいます。その背景には、町全体が抱える一つの課題がありました。今回は、2015年から東北に移り住み、女川での活動を推進してきた広報・CSV推進部の阿部真の話を交えつつ、ご紹介します。

「住民の健康」を起点に、町の未来を考えていく

人口減少、少子高齢化、医療費の増加……これらは、いま日本の地方都市が共通して直面している課題です。とくに東日本大震災後、東北でそれらが一気に表面化。それは、女川町も例外ではありませんでした。同町は2011年4月からいち早く、復興と未来を見据えた取り組みを展開しはじめます。

しかし女川町は、大きな課題を抱えていました。「住民の健康」――町の未来を考えるうえで無視することのできない問題です。

さまざまな形で東日本大震災の復興支援に取り組んできたロートは、活動を進めるなかで、女川町の現状を知ることになりました。

住民のメタボ率や、小児生活習慣病率が高いこと。住民1人当たりの医療費が上がっていること。それにもかかわらず、健康診断や医療機関の指導を受ける習慣があまりないこと……。

▲協定締結式の様子

そうした状況を変えるため、2016年6月に女川町と、地域活性のための活動を行なっている非営利活動法人アスヘノキボウ、そしてロート製薬の3者が手をたずさえ「健康な町、女川町」を目指した連携協定を結びました。こうして町の未来づくりのために、住民の健康を促進する活動をスタートすることになったのです。

1度の食事でサンマ3匹?見えてきた食生活の課題

このプロジェクトの立ち上げに際し、自ら手を挙げて参画したのが、広報・CSV推進部の阿部真。震災直後からボランティアや業務を通じて、東北の復興支援に関わってきた社員の一人です。
2012年から人事総務部に在籍していた阿部は、社内の人事制度を考える傍で日本における働き方や取り巻く社会の変化を見つめてきました。そうした動きを見ているうちに「企業の内側に閉じこもって考えるのではなく、外に飛び出してみる必要があるのでは?」との思いにかられた阿部は、自ら手を挙げ2015年から本格的に東北での活動をスタート。震災をきっかけに表面化した社会課題を、それまでにないやり方で解決しようと、東北での活動を続けています。

「ハード面の復興は、だいたい目処が立ちつつある。でもソフトはまだまだだ、と。高齢化や人口減少が進むことがわかっている中で、地域の活力を生みだすには住民の健康がなによりも大事なんですよね。その仕組みづくりを、イチからやっていく。自分にとっても大きなチャレンジになると思いました」(以下、阿部)

▲女川秋刀魚収穫祭に参加する阿部(写真左)

女川町に暮らす人たちの健康問題は、どんなことから生まれているのか? 阿部はまず、その原因を探るためのヒアリングをはじめました。仮設住宅をたずねて歩き、地元の人たちとお酒を飲み、町内のイベントにも積極的に参加する日々。

そうしていくうちに、人々の生活のスタイルが見えてきます。

震災後、買い物ができる場所が少なくなってしまった女川町。もともと町内には畑がなく、スーパーへのアクセスも決してよくありません。そのため、十分な量の野菜を日常的に口にしていない人が多数いました。

「その一方、女川町は日本でも有数の漁港町です。おいしい海産物がたくさんとれるので、たとえばサンマなら、1回の食事で3匹くらい食べてしまう人もいるんですよね。

青魚の脂も身体にいいといわれますが、食べすぎは高タンパク・高カロリーになりすぎるため、気づかないうちに生活習慣病のリスクが高くなってしまう。でも、そんな生活がごくごく当たり前になっていることがわかってきました」

この町に必要なのは、「病気を予防する」という意識ではないか。阿部はそう考えるようになります。

「現役世代、つまり子育てをしている親たちの健康リスクが高ければ、子どもたちの健康にも大きな影響を与えます。それをどこかで、断ち切ることが急務だと感じたのです」

小さな取り組みから、目指すは「健康なまち」づくり

▲町民のつどいで開催された野菜の食べ方教室

人が幸せに生きていく根底には、「健康」があります。しかし、“健康なまち”をつくっていくには、一体何が必要なのか? どんなことに取り組むべきか、何から始めるべきか。女川町を訪れた阿部は模索します。そして自治体のみなさんと協力し、「女川町健康プロジェクト」と題していくつかの試験的な施策を行なうことにしました。

まずは町内7箇所で、「10分無料カラダチェック」を実施。体組成計などによって、自分の身体のことを手軽にチェックできるイベントです。そのほか、健康セミナーも開催しはじめました。

さらにこれまでロート社内でも実施し、結果を出してきた「健康100日プロジェクト」を、地域で展開することにしたのです。

▲2017年10月に行われた100日プロジェクトの表彰式

このプロジェクトは、チーム対抗で行われるもの。自分たちで目標を定め、個人ではなくチーム全員で、その達成を目指します。2017年6月から9月にかけて、商工会青年部のメンバー、ママたちのコミュニティ、地区ごとの集まりなど、合計11チームが参加した対抗戦が行われました。

「毎日何キロ走りましょう」というようなハードルの高いものではなく、ごく日常のことから。100日間だけ夜の間食をひかえる、職場でラジオ体操をはじめる……。ゆるやかな減量に取り組んだチームもありました。

「やはり個人ではなく、チームでの目標達成を目指すと、みんなが取り組みやすくなりますよね。結果、参加者の多くにBMI値の改善が見られるなど、成果も明確に出ました。さらに、このプロジェクトをきっかけにはじめたラジオ体操が習慣化するなど、今後につながる動きも生まれました」

世の中の「健康」のため、官民協働のプロジェクトは続く

こうした取り組みは、まだまだ実験段階。仕事に子育てにと忙しい現役世代の人たちが、もっと気軽に健康を意識する場をつくり、生活スタイルを根本から変えていく。そのために、ロート製薬として貢献できることはまだまだあるはずです。

「例えば子どもの食育や、美容・スキンケアへの興味も、健康を考えるきっかけになります。そう考えていくと、ロートが提供できるコンテンツはたくさんあるんですよね。それを活かした施策を、今後も一つひとつ実現していきたいと思っています」

「健康」というテーマは、女川町に限らず、日本、そして世界、ひいては人類共通の課題でもあります。女川町での取り組みが、同じ課題を抱える人たちの希望になることを願い、ロート製薬としての活動を続けていきます。


取材・文:大島悠+プレスラボ

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