『表皮細胞』の糖化が、肌の透明感を左右することを解明

「糖化」研究結果 最新レポート 表皮細胞の糖化に着目!

『表皮細胞』の糖化が、肌の透明感を左右することを解明

糖化した角層では「結合水」が減少し、表皮基底細胞でも糖化が起こることを確認

2012年11月7日

ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:吉野俊昭)は、「再生美容」や「機能性素材の探索」をテーマに掲げる研究拠点「ロートリサーチビレッジ京都」で肌の糖化に関する研究を行い、三次元培養表皮モデルにおいて、糖化により表皮の透明感が消失し、更に抗糖化素材を配合した製剤を塗布することで透明感が保たれる事を確認しました。また、糖化した角層では水分保持能力の指標である「結合水」が減少することも発見しました。糖化した角層では細胞機能低下が起こっており、結合水の不足が角層の保水力の低下や乾燥、さらには肌のくすみにつながると考えられます。さらに、細胞の糖化は表皮基底細胞でも起こり、表皮全体で糖化が進行することを解明しました。
本研究結果は、表皮に着目した抗老化化粧品の開発において非常に有用であるといえます。

1. 研究の背景

当社は研究拠点「ロートリサーチビレッジ京都」において、「再生美容」を重点研究テーマに掲げ、基礎研究や素材開発等、より川上の研究を積極的に推進しております。最近では皮膚老化の要因の一つである「糖化」に着目。当社は糖化と肌老化の関係についてかねてより研究を重ねていましたが、今回、最も上層となる表皮の糖化に肌老化の鍵があると考え、表皮細胞に着目した研究を行いました。


2. 「糖化」について

「糖化」とはたんぱく質に糖が結合する現象で、糖化による最終生成物を「AGEs(advanced glycation end products:終末糖化合物)」と呼びます。血管で糖化が起こると、AGEsの蓄積により毛細血管障害が起こり、肌の真皮ではコラーゲンの糖化により線維が固くなり、ハリ弾力の低下を引き起こす等、肌老化の原因の一つになると言われています。


3. 研究の成果

  1. 表皮の糖化が透明感を左右する

    結果:表皮の糖化により形成される角層の色が黄色く変色し、見た目の透明感が減少する事が確認された。また、抗糖化成分を配合した外用剤の使用により、透明感が保たれる事を確認した。三次元培養表皮モデルの角層に対して、通常のスキンケアと同様の塗布方法を用いているため、より実使用に近いデータを得ることができた。

    試験方法:表皮の三次元培養皮膚に各試薬を2週間塗布し、色の評価を行った。(ロート研究所実施)
    ※エーデルワイスエキス、ウメ果実エキスの混合物

  2. 糖化した角層の結合水は減少する
    結果:糖化した角質では、無処理の角層に比べて結合水量が26%低下した。
    試験方法:ヒトのかかと角層を脱脂後、糖化処理を施し、その結合水量を測定した。無処理のものを100として比較した。(ロート研究所実施)
    ※結合水とは:たんぱく質等、体内の高分子が保持する一定量の水分。通常の肌では20~30%の水分が結合水として保持されている。たんぱく質が持つ水分保持能力のバロメータといえる。
  3. 糖化は基底層の表皮細胞でも起こる

    角層だけでなく、表皮の中でも一番下、細胞の分化開始点である基底層に多く存在するたんぱく質であるケラチン5、ケラチン14でも糖化が起こることを確認した。

    試験方法:表皮細胞に糖化処理を施し、AGEs及びケラチン1、ケラチン5、ケラチン10、ケラチン14を免疫蛍光染色法により観察した。(ロート研究所実施)

  4. 考察:肌の透明感の低下や黄ぐすみの原因が表皮細胞の糖化にあることが示唆されました
    表皮細胞の糖化が肌の透明感が無くなる原因の一つである事と、糖化による透明感の低下は抗糖化素材によって改善できることが明らかになりました。また、糖化した角層では結合水が減少し、保水能の低下、さらには肌の乾燥につながる事が示唆されました。
    さらに、表皮の糖化は基底層の細胞でも起こっていることが確認され、分化のスタート地点から糖化がおこり表皮全体に広がっている可能性を見出しました。

  5. 今後
    肌の透明感は、様々な要因により失われますが、今回、「糖化」も透明感を左右する要因となることが解明されました。更に糖化した細胞の詳しいメカニズムの追求を行うとともに、糖化に着目した抗老化化粧品の開発に研究結果を応用していきたいと考えています。

【参考】

肌の老化と「糖化」

肌の老化は加齢による「自然老化」と紫外線による「光老化」に分けられ、そのうち光老化が80%と言われています。紫外線による肌内部で起きている反応としては「酸化反応」と「糖化反応」があり、最近では肌の糖化に関する研究も進んできています。
「糖化」とは人の体を構成するたんぱく質が糖により変性する現象で、この糖化反応により生成される物質「AGEs」は加齢と共に増加することが分かっています。また、真皮の主要なたんぱく質であるコラーゲンも糖化するということが分かってきました。「糖化コラーゲン」が蓄積すると、肌は硬くなり、弾力が低下する等、老化が進む要因になると言われています。