抗アレルギー剤「トラニラスト」がアレルギー性結膜疾患の重症化を防ぐことを確認しました。

花粉やハウスダスト等により起こる「アレルギー性結膜疾患」の重症化を防ぐメカニズムを研究。

抗アレルギー剤「トラニラスト」がアレルギー性結膜疾患の重症化を防ぐことを確認しました。

2013年7月12日

ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:吉野俊昭)は、高知大学 福島敦樹教授との共同研究で、花粉やハウスダストにより起こる「アレルギー性結膜疾患」の重症化メカニズムについて、とくに抗アレルギー剤「トラニラスト」がアレルギー性結膜疾患の重症化を防ぐメカニズムについて研究を行いました。IL(インターロイキン)-33はマスト細胞の脱顆粒促進、炎症性サイトカインやCOX2の発現亢進によりアレルギー症状の重症化に関与すると言われています。「トラニラスト」はIL-33を介するマスト細胞の活性化を抑制することが確認され、その結果、重症化を防ぐと考えられました。今回の結果は、2013年7月12日、日本眼炎症学会7月12日~14日、大阪国際会議場にて開催)で発表します。

研究の背景

アレルギー性結膜疾患は、花粉やハウスダストによりI型アレルギー反応が引き起こされ、目のかゆみや充血などの自覚症状を伴う疾患です。「アトピー性角結膜炎」や「春季カタル」等に代表される重症例では軽症例には認められない角膜障害を伴うことから、角膜障害はアレルギー性結膜疾患重症化の指標と考えられています。アレルギー性結膜疾患の重症化メカニズムの一つの仮説として、IL-33がマスト細胞の脱顆粒を促進し、炎症性サイトカイン・COX2の発現が亢進することによりアレルギー炎症を増幅させることが考えられます。そこで、IL-33を介するアレルギー性結膜疾患の重症化を抑制する可能性を持つ抗アレルギー剤の研究を行いました。


「トラニラスト」について

トラニラストは抗アレルギー剤で、メディエーター遊離抑制薬の一つです。
点眼ではアレルギー性結膜疾患の第一選択薬として使われています。


結果1:トラニラストはIL-33によるマスト細胞の脱顆粒を抑制する

方法:抗体で感作させたマスト細胞に各試薬を添加し、β-hexosaminidase活性の測定により脱顆粒率を計算しました。(n=3、ロート研究所実施)
結果:IL-33により誘導される脱顆粒をトラニラストが抑制しました。(グラフ1)


結果2:トラニラストはIL-33によるCOX2の発現亢進を抑制する

方法:抗体で感作させたマスト細胞に各試薬を添加し、定量的リアルタイムPCR法によりCOX2および炎症性サイトカインの遺伝子発現量を計算しました。(n=3、ロート研究所実施)
結果:IL-33により誘導されるCOX2発現亢進をトラニラストが抑制しました。(グラフ2)また、トラニラストは炎症性サイトカイン(IL-1β、IL-6)の発現亢進も抑制しました。(グラフ3およびグラフ4)



考察

以上の結果より、抗アレルギー剤トラニラストはIL-33を介するマスト細胞の活性化を抑制することにより、アレルギー症状の悪化を防ぐ可能性が示唆されました。


【用語解説】

アレルギー性結膜疾患

I型アレルギーが関与する結膜の炎症性疾患で、何らかの自他覚症状を伴うものと定義される疾患。
症状として、結膜(白目部分の粘膜等)の炎症、目のかゆみ、めやに、涙目などがあげられます。
大別するとアレルギー性結膜炎、アトピー性角結膜炎、春季カタル、巨大乳頭結膜炎に分類されます。

※:アレルギー性結膜疾患診療ガイドラインより引用

マスト(肥満)細胞

アレルギー性結膜炎等、IgEを介したI型アレルギー反応に関係する細胞。粘膜など、全身に存在する細胞です。マスト細胞の中にはヒスタミン等、アレルギーの原因となる化学伝達物質が含まれており、脱顆粒することによりアレルギー炎症を誘発する物質が放出されます。


脱顆粒

マスト細胞の内容物であるヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されること。マスト細胞表面に結合したIgEに抗原(花粉やハウスダスト等)が結合することで反応が起こり、結果的にヒスタミンなどが放出されます。

炎症性サイトカイン

炎症に関与するサイトカイン。IL-1、IL-6、TNF-αなどが知られています。


COX2(シクロオキシゲナーゼ)

プロスタグランジンやトロンボキサン等の生理活性物質の代謝に関与する酵素。シクロオキシゲナーゼには、COX1、COX2、COX3の3つのタイプがあり、特にCOX2は炎症時に発現が上昇すると言われています。
シクロオキシゲナーゼを阻害することで炎症を引き起こすプロスタグランジンの生成を抑制することができるため、シクロオキシゲナーゼを抑制することは、炎症の悪化抑制に有効です。