花粉症等の鼻炎に効く漢方薬「小青竜湯」に関する研究

花粉症等の鼻炎に効く漢方薬「小青竜湯」に関する研究

芍薬(しゃくやく)中成分Mudanpioside Eが小青竜湯(しょうせいりゅうとう)の抗アレルギー作用に関与していたことを発見

2014年1月8日

ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:吉野俊昭)は、名古屋市立大学との共同研究で、抗アレルギー作用等により鼻水・鼻づまり等の鼻炎症状に効果を発揮する漢方薬“小青竜湯”についての研究を行いました。その結果、小青竜湯を構成する8つの生薬のうち、芍薬中に小青竜湯の抗アレルギー作用発現に大きく関与する成分を発見し、その成分をMudanpioside Eと同定しました。漢方薬エキス製造過程で本結果を応用することにより、より効果の高い小青竜湯エキスを作成することが期待できます。なお、本研究結果は、2013年9月8日(日)、日本生薬学会(9月7-8日、北海道当別町において開催)において発表しました。

1. 研究の背景

当社は差別性と競争力を備えた新製品の開発を可能とするため、研究拠点「ロートリサーチビレッジ京都」において、機能性素材の探索や漢方薬の有効性についての研究を行っております。また、中国の天津ロート社において効果的なエキス抽出についての研究も続けています。漢方薬は処方内容(原料生薬の組成や量)が決まっているものの、生薬そのものの品質、生薬の刻み方やエキスの抽出方法等で効果が変わります。今回、漢方研究を積極的に行う名古屋市立大学と小青竜湯についての共同研究を行い、それぞれの生薬が処方全体に及ぼす影響を研究しました



2. 「小青竜湯」について

小青竜湯は、8種類の生薬からなる漢方製剤です。アレルギーなどによる鼻水や鼻づまりは、漢方では水のめぐりが悪くなることにより、みぞおちあたりの冷えとともに起こると考えられています。小青竜湯は身体を温めるとともに、発汗作用等により水を発散させ、鼻水、鼻づまりなどの鼻炎症状を改善する働きをもつ漢方薬です。最近の研究では、生体が本来持つ防御機能に作用してアレルギー反応を抑える働きや、鼻づまりの原因となる鼻粘膜の血管拡張を抑制する働き、ヒスタミンなどの放出を抑える働き等があるとされています。



3. 研究結果

  1. 芍薬が小青竜湯の効果を抑制していた。
    小青竜湯の8つの生薬から1つを抜く「1抜き処方」による薬効を比較した結果、芍薬を抜いた処方は優位にアレルギー症状抑制効果が高くなりました。組み合わせのうち、芍薬が小青竜湯の効果を抑制している事が明らかになりました。

  2. 芍薬内の薬効阻害成分を同定した。

    芍薬エキスの抽出・単離を繰り返した結果、阻害成分を特定し、構造を同定しました。
    阻害成分がMudanpioside Eであることを明らかにしました。


4. 考察

小青竜湯を構成する8種類の生薬のうち、芍薬中のMudanpioside Eが薬効を抑制していることを明らかにしました。アレルギー疾患に対して小青竜湯を漢方製剤として用いる際は、Mudanpioside E含量の少ない芍薬を使用したり、抽出に工夫をすることで、小青竜湯の抗アレルギー活性を増大できる可能性が示唆されました。



5. 今後の展望

今回の検討は、生薬同士の相互作用を同時に検討できるため、非常に有用な方法であると考えます。今後も、各生薬・各成分の相互作用を詳細に研究することにより、有用性の高い漢方薬エキスを製造できるよう、研究を進めてまいります。