肌細胞の老化モデルで、サーカディアンリズムが乱れることを解明

体内時計®をつかさどる遺伝子「時計遺伝子」に着目

肌細胞の老化モデルで、サーカディアンリズムが乱れることを解明

リズムの乱れを補正し、肌のコラーゲン産生を高める天然素材を発見

2014年5月22日

ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:吉野俊昭)は、「再生美容」や「機能性素材の探索」をテーマに掲げる研究拠点「ロートリサーチビレッジ京都」で肌のサーカディアンリズムについて、体内時計®をつかさどる「時計遺伝子」に着目して研究を行い、肌細胞の老化モデルではサーカディアンリズムが乱れていることを確認しました。また、リズムの乱れを遺伝子レベルで補正し、かつ肌のコラーゲン産生を促進する素材として「カンゾウ葉エキス」を発見しました。夜の肌細胞レベルでのリズムの乱れは、エイジングに伴う肌機能低下のメカニズムの一つと考えられます。本研究結果は今後、アンチエイジング製品開発に応用していきます。

1. 研究の背景

当社は研究拠点「ロートリサーチビレッジ京都」において、「再生美容」を重点研究テーマに掲げ、基礎研究や素材開発等、より川上の研究を積極的に推進しております。今回、体内時計®をつかさどる「時計遺伝子」と老化の関係に着目し、肌細胞の老化モデルを用いたサーカディアンリズムについての研究を行いました。


2. 「サーカディアンリズム」と「時計遺伝子」について

「サーカディアンリズム」とは、様々な生命現象で見られる一日周期の自律的リズムのことをいい、動物、植物、菌類等、ほとんどの生物に存在します。このリズムの変化は医療分野でも応用されており、「時計遺伝子」と呼ばれる数種の遺伝子がリズムをつかさどると言われています。最近では細胞レベルでもリズムがあることが分かり、皮膚でも「時計遺伝子」がリズムを打つことが分かっています。代表的な時計遺伝子として、日中の発現量が高い「PERIOD」、夜間の発現量が高い「BMAL」があります。


3. 研究の成果

  • 結果[1] 肌細胞の老化モデルでは、サーカディアンリズムが乱れる

    肌細胞の老化モデルを用いて時計遺伝子の変動を測定した結果、正常細胞に比べて老化モデルではサーカディアンリズムが乱れており、正常細胞で「夜」状態となる16時間後でも時計遺伝子の発現が下がらず、細胞が「夜」の状態に入らない事が分かりました。
    試験方法:線維芽細胞にH2O2処理を加え、細胞老化モデルを作成した。この細胞をデキサメタゾンで1時間処理しリズム同調させた後、通常培地に戻し培養した。各時間でのPER1(時計遺伝子)のmRNA発現量をqRT-PCRにより定量し、1時間後の値を1として比較した。(n=4、ロート研究所実施)

  • 結果[2] 細胞は「夜」状態の時にコラーゲン産生量が増加する

    細胞のサーカディアンリズムが肌細胞にどのような影響を与えるのかを調べるため、肌細胞(正常細胞)の「昼」と「夜」でのI型コラーゲン産生量を測定しました。結果、「夜」状態でI型コラーゲン産生量が高くなりました。
    試験方法:線維芽細胞にデキサメタゾンで1時間処理しリズム同調させた後、12時間後の培養上清を「昼」サンプル、12時間後に培地交換し(コラーゲン量リセット)更に12時間培養した培養上清を「夜」サンプルとして、ELISA法でI型コラーゲン量を測定した。コントロールを1として比較した。(n=6、ロート研究所実施)

  • 結果[3] 天然素材「カンゾウ葉エキス」がリズムを補正することを確認

    肌細胞の老化モデルで「夜」状態を作りだしリズムを整える素材を探すため、本モデルで「夜」状態となる16時間後に時計遺伝子の発現を下げる天然素材を約100種類のエキスからスクリーニングしました。結果、「カンゾウ葉エキス」が16時間後の時計遺伝子の発現量を下げることが明らかになりました。
    試験方法:線維芽細胞をにH2O2処理を加え、細胞老化モデルを作成した。この細胞をデキサメタゾンで1時間処理しリズム同調させた後、通常培地に戻し培養した。4時間後に各素材を添加し、16時間後のPER1(時計遺伝子)のmRNA発現量をqRT-PCRにより定量しコントロールを100として比較した。(n=4、ロート研究所実施)

  • 結果[4] 「カンゾウ葉エキス」が肌細胞の老化モデルでコラーゲン産生を高めることを確認

    リズムを整える「カンゾウ葉エキス」が老化モデル肌細胞に与える影響を研究しました。結果、カンゾウ葉エキスは老化モデル肌細胞のI型コラーゲン産生を促進することが明らかになりました。
    試験方法:線維芽細胞にH2O2処理を加え、細胞老化モデルを作成した。この細胞に各素材を添加後、48時間培養し、ELISA法で培養上清中のI型コラーゲン量を測定しコントロールを1として比較した。(n=4、ロート研究所実施)

4. 考察

以上の結果より、肌細胞の老化によりサーカディアンリズムが乱れることが示唆されました。更に、細胞は「夜」状態の時にコラーゲン産生量が高くなることが明らかになりました。体内時計®は体全体に作用しますが、特に夜は細胞修復や肌のコラーゲン産生に重要な時間帯と考えられることから、このリズムを整えることは肌にとって重要であると考えられます。リズムを整える機能を持ち、かつ、コラーゲン産生能を高める「カンゾウ葉エキス」は肌細胞のサーカディアンリズムに働きかけ、かつ、コラーゲン産生を高めることで、肌のハリを高める等、有用な化粧品素材であるといえます。


5. 今後

体内時計®や時計遺伝子が肌細胞にまで影響を及ぼす研究を続け、製品へと応用していきたいと考えています。


  • 「体内時計」は、ロート製薬株式会社の登録商標(第5093717号)です。