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世界初!「ミトコンドリアトランスファー」で肌細胞(線維芽細胞)の「老化度」が改善!

研究開発

再生医療研究から生まれた「肌老化」に関する新知見 『ミトコンドリアトランスファー』で肌細胞が若返る!? 世界初!「ミトコンドリアトランスファー」で肌細胞(線維芽細胞)の「老化度」が改善! さらに、プルーン分解物とアロエベラ葉エキスの組み合わせで、ミトコンドリアトランスファーが促進されることを発見。

2018年8月31日

ロート製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役会長兼社長:山田邦雄)は、ミトコンドリアトランスファー(ミトコンドリア輸送)が皮膚線維芽細胞に与える影響について研究を行いました。その結果、皮下組織にある「脂肪幹細胞」のミトコンドリアが真皮の「線維芽細胞」に輸送されることで、線維芽細胞の老化度が改善することを世界で初めて実証しました。
さらに、ミトコンドリアトランスファー効果を促進する成分の組み合わせを検討した結果、「プルーン分解物とアロエベラ葉エキス」の組み合わせにその効果があることを発見しました。これらの成分の組み合わせにより、ダメージを受けた肌細胞に健康なミトコンドリアが多く受け渡され、ダメージからの回復へと導きます。
本成果は国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)ミュンヘン大会2018(9月18~21日、ドイツ)で発表予定です。

研究の背景

当社はかねてから再生医療事業に取り組み、幹細胞研究を推進しております。そこで培った技術や知見は再生医療事業への活用にとどまらず、皮膚研究へも応用してまいりました。脂肪幹細胞の遊走や増殖を高める成分など、数々の知見を発見し研究成果を上げ、製品への応用を進めています。
そのような中、近年、再生医療の細胞治療の分野で「ミトコンドリアトランスファー」という新規現象が注目されており、急性肺障害や心筋細胞障害に有効であることが示されています。当社は脂肪幹細胞の更なる可能性を追求すべく他社に先駆けてこの現象に着目し研究を進めてまいりました。

「ミトコンドリア」と「ミトコンドリアトランスファー」について

ミトコンドリアは、ほぼすべての生き物の細胞にあり、細胞内でエネルギーを生み出します。細胞が生きていくにはなくてはならないもので、細胞の老化に関与します。
そのミトコンドリアは、細胞間で受け渡されることが最近の研究でわかってきており、その現象は「ミトコンドリアトランスファー」と呼ばれています。細胞と細胞の間にトンネルをつくり、ミトコンドリアを受け渡す現象で、特に幹細胞で起こりやすいと言われています。

脂肪幹細胞から線維芽細胞へのミトコンドリアトランスファー

本研究を進めるにあたり、脂肪幹細胞と線維芽細胞を共に培養し、脂肪幹細胞から線維芽細胞へミトコンドリアトランスファーが起こる様子を顕微鏡で撮影しました。

試験方法:脂肪幹細胞のミトコンドリアを緑色に染色し、線維芽細胞を赤色に染色しました。その2種の細胞を共に培養後、タイムラプス蛍光顕微鏡で撮影しました。赤色の細胞内に緑色のシグナルが確認できます。青色は細胞核を示します。

研究の成果

世界初!脂肪幹細胞からミトコンドリアが輸送されると線維芽細胞の老化度が改善することを実証

ヒト線維芽細胞に酸化ストレスを与えると細胞は老化し、さらにミトコンドリアにはダメージが蓄積され、細胞の機能が低下します。しかし、健常なミトコンドリアを持つ脂肪幹細胞からミトコンドリアトランスファーが起こると、老化した線維芽細胞の老化度が改善することを世界で初めて実証しました。

試験方法:薬剤で老化処理した線維芽細胞を単体で培養、あるいは健常な脂肪幹細胞と共に培養(=ミトコンドリアトランスファーが起こる条件)した老化処理線維芽細胞の、老化マーカーであるβ-ガラクトシダーゼ活性を測定した。

ミトコンドリアトランスファーが起こると、細胞の抗酸化力が高まることを実証

試験方法:単体で培養した線維芽細胞と、脂肪幹細胞と共に培養(=ミトコンドリアトランスファーが起こる条件)した線維芽細胞のうち、線維芽細胞だけからRNAを抽出し、SOD2遺伝子の発現をリアルタイムPCRで確認した。

「プルーン分解物とアロエベラ葉エキス」の組み合わせにより、ミトコンドリアトランスファーが促進されることを発見

「ミトコンドリアトランスファー」を促進する成分の組み合わせを検討したところ、「プルーン分解物とアロエベラ葉エキス」の組み合わせでその効果を発見しました。

試験方法:脂肪幹細胞のミトコンドリアを緑色に染色し、線維芽細胞を赤色に染色した。その2種の細胞を共に培養後、蛍光顕微鏡で撮影し、赤色の中に緑色が見える細胞(=脂肪幹細胞のミトコンドリアが線維芽細胞に移った細胞)の割合を計測した。

考察

本研究により、ミトコンドリアトランスファーが肌の老化にも大きく寄与することを発見しました。細胞内のミトコンドリアは紫外線や加齢、ストレスにより常にダメージを受けており、その機能の改善にミトコンドリアトランスファーは大きく寄与します。
今回発見した成分の組み合わせ(プルーン分解物とアロエベラ葉エキス)を取り込み続けることで、ミトコンドリアトランスファーを継続的に促進させ、紫外線や加齢で老化した肌細胞の回復に有効であることが期待できます。