脂肪由来間葉系幹細胞が真皮線維芽細胞の能力を高める事を確認

再生医療研究から生まれた発想を、皮膚科学に応用 脂肪由来間葉系幹細胞が真皮線維芽細胞の能力を高める事を確認 ヒアルロン酸、コラーゲン等の産生を高めることを確認しました。

2016年1月27日

ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:吉野俊昭)は、「再生美容」や「機能性素材の探索」をテーマに掲げる研究拠点「ロートリサーチビレッジ京都」で研究を行い、脂肪由来間葉系幹細胞が真皮線維芽細胞のヒアルロン酸、コラーゲン、更にコラーゲンの分解を抑制する酵素「TIMP1」の産生を促進することを確認しました。また、真皮線維芽細胞のコラーゲン線維形成を促進することも確認しました。幹細胞が自らコラーゲン線維を形成することを確認していましたが、線維芽細胞の能力まで高めることが今回明らかになりました。加齢等で弱ったコラーゲン線維の増強等に貢献すると期待できます。本結果は第38回日本分子生物学会年会・第88回日本生化学会大会合同大会(2015年12月1日~4日、神戸市で開催)において発表しました。

研究の背景

当社はかねてより再生医療の事業化を見据えた幹細胞研究を進める中で脂肪由来間葉系幹細胞の有用性を追求してきました。脂肪由来幹細胞は体内で様々な効果を持つとして再生医療への応用が期待されています。脂肪由来幹細胞の皮膚における効果について、アンチエイジングへの応用ができると考え、研究拠点「ロートリサーチビレッジ京都」において研究を行いました。

脂肪由来間葉系幹細胞について

幹細胞(Stem Cell)とは、自己複製能と、様々な細胞に分化する能力を持つ特殊な細胞です。高い増殖能を持ち、必要に応じて細胞や組織の再生を担うと考えられています。また、様々な組織の中に存在することが知られており、中でも脂肪の中にある幹細胞を脂肪由来幹細胞と呼びます。間葉系幹細胞とは、間葉系に属する細胞(骨や軟骨、脂肪など)への分化能を持つ細胞で、修復部位に遊走し、そこで組織修復等を行う事も知られています。以前の研究結果より(2015年6月発表)、脂肪由来間葉系幹細胞はコラーゲン線維形成を行うことを確認していましたが、今回、脂肪由来間葉系幹細胞の、真皮線維芽細胞への働きについて研究しました。

研究の成果

結果1:脂肪由来間葉系幹細胞は真皮線維芽細胞の能力を高める

脂肪由来間葉系幹細胞との共存により、線維芽細胞のI型コラーゲン、ヒアルロン酸、TIMP1の産生が促進することを確認しました。

※TIMP1:コラーゲン等を分解する酵素MMPの働きを阻害する生体内酵素

試験方法:脂肪由来間葉系幹細胞と真皮線維芽細胞を混合培養した後、線維芽細胞のみを再培養し、その上清中の各タンパク質量を測定した。コントロールを1として比較した。(n=3、ロート研究所実施)

結果2:脂肪由来間葉系幹細胞は真皮線維芽細胞のコラーゲン線維形成を促進する

コラーゲンは産生されたのち線維化することが重要です。脂肪由来間葉系幹細胞の培養上清が真皮線維芽細胞のコラーゲン線維形成を促進することを確認しました。

試験方法:真皮線維芽細胞および脂肪由来間葉系幹細胞の培養上清を添加し、真皮線維芽細胞を培養した後、I型コラーゲンを染色した。(ロート研究所実施)

考察

以上の結果より、脂肪由来間葉系幹細胞は自らコラーゲン等を産生するのみならず、真皮線維芽細胞のコラーゲンやヒアルロン酸の産生を促進することが明らかとなりました。また、コラーゲンの分解を抑制する生体内酵素「TIMP1」の産生が促進することも分かりました。
従って、皮下の脂肪由来間葉系幹細胞の活性化は肌の状態改善、再構築に繋がると考えられ、アンチエイジング効果が期待できます。

今後

脂肪由来間葉系幹細胞のさらなる働きを研究し、化粧品開発へと応用していきます。