世界初、新セラミド※1の化粧品への配合を実現化。皮膚のバリア機能を高める効果を確認※2

世界初、新セラミド※1の化粧品への配合を実現化 皮膚のバリア機能を高める効果を確認※2 細胞間脂質のバランスに着目した研究を加速していきます

2017年8月9日

ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:吉野俊昭)は、新しいセラミド成分(ジヒドロキシリグノセロイルフィトスフィンゴシン)を、世界で初めて化粧品へ配合することを可能にしました。また、その新しいセラミド成分を含むセラミド混合物※3に皮膚バリア機能を高める効果があることを見出しました。今後も細胞間脂質のバランスに着目し、本成分を含めたセラミド類を各製品に応用していく予定です。

※1:ジヒドロキシリグノセロイルフィトスフィンゴシン
※2:セラミド混合物の効果
※3:ジヒドロキシリグノセロイルフィトスフィンゴシンとセラミド6IIの混合物

研究の背景

当社は皮膚トラブルのある方でも安心して使っていただけるよう、皮膚が弱酸性を保つことの重要性や皮膚の菌バランスに着目して、敏感肌・乾燥肌対策のスキンケア製品を開発してきました。近年では、皮膚の保湿において細胞間脂質のバランスが非常に重要であるという考えの下研究を進め、2014年には、皮膚にとって必要なうるおい(細胞間脂質)は残したまま、不要な汚れはしっかりと落とす『選択洗浄技術』も開発しました。

細胞間脂質とバリア機能

細胞間脂質とは、人の皮膚の一番外側にある角質層において、角質細胞の間を埋めている脂質の集合体のことで、主にセラミドやコレステロール、脂肪酸から構成されています(図1)。一方、バリア機能とは、外部からの不要な成分の侵入を防ぎ、水が皮膚から逃げていくのを防ぐという、皮膚のもつ一番大切な機能です。皮膚のバリア機能にはきれいに整列した細胞間脂質が重要であり、そのためには構成成分であるセラミドの存在はもちろんのこと、細胞間脂質の適切なバランスが欠かせません。そこで当社は、細胞間脂質のバランスを考え、複数のセラミド、コレステロール、そして脂肪酸を配合した乾燥肌の方に向けた化粧品を発売しています。

新セラミド ジヒドロキシリグノセロイルフィトスフィンゴシン

バリア機能と細胞間脂質の研究を進める中で、醤油粕由来のセラミド混合物に着目しました。このセラミド混合物は抽出精製が難しく、含まれる量も少ないことから貴重な成分です。さらにこの混合物の中には麹菌のセラミドとして知られているセラミドが含まれており、今回新しくジヒドロキシリグノセロイルフィトスフィンゴシン(図2)という名前(化粧品表示名称)をつけました。

セラミド混合物のバリア機能向上効果

研究の結果、新セラミドを含むセラミド混合物は、複数のセラミド合成関連酵素の遺伝子発現を増やす効果があることを見出しました。人の皮膚では、図3に示したように主に2つの経路でたくさんの酵素が働いて、セラミドが作られています。セラミド混合物はこれらの酵素のうち、A(SPTLC1、SPTLC3)とB-1(SMPD1)とB-2(GBA1、GBA2、GALC)に関して遺伝子発現を増やしている(図4)ことから、全ての経路を活性化しており、皮膚に存在する多種のセラミド産生に有益と考えられました。

<セラミドの体内での生合成とセラミド混合物>
人の皮膚では、はじめに表皮基底層から顆粒層でセラミドが合成されます(A:de novo経路)。このセラミドをスフィンゴミエリンやグルコシルセラミドに変換し貯めておいた後、再びセラミドに戻り(B:サルベージ経路)、細胞間脂質として働きます。このサルベージ経路はさまざまな種類のセラミドを合成し、バランスを調整するため、健康な皮膚バリア機能にとって重要な意味を持ちます。肌にとってセラミドのバランスが重要だと考える当社は、複数のセラミド合成経路を活性化することが有益と考え、研究を行っています。
セラミド混合物は、de novo経路のセラミド合成速度を決定する酵素の遺伝子であるSPTLC1、SPTLC3の発現量を増やします(A)。更に、セラミド混合物はスフィンゴミエリンからセラミドを合成する酵素の遺伝子であるSMPD1(B-1)と、グルコシルセラミド等からセラミドを合成する酵素の遺伝子であるGBA1、GBA2、GALCの遺伝子発現を促進します(B-2)。

試験方法
培養皮膚細胞にセラミド混合物溶液を添加し培養後RNAを抽出し、リアルタイムPCR法にて遺伝子発現量を測定した。
無処置コントロールを1としたときの発現量を算出した。
(* : P<0.05, ** : P<0.01, ***: 0.001, vs. コントロール)

さらに、セラミド混合物は三次元培養皮膚モデルにおいて、実際に水分蒸散量を抑制する効果があり(図5)、バリア機能向上効果が期待できることも分かりました。皮膚の水分蒸散量が小さくなるということは、皮膚から水分が失われにくくなっていると考えられ、一般的に皮膚のバリア機能の指標として使われています。

試験方法
三次元培養皮膚モデルにセラミド混合物を塗布し、経時的にTEWLを測定した。

独自の細胞間脂質コンプレックスによるセラミド産生促進効果

さらに、セラミド混合物に複数のセラミドやコレステロール等を加えた細胞間脂質コンプレックス※4を三次元培養皮膚モデルに塗布したところ、コントロールと比較して、セラミド3が増えました(図6)。セラミド3は、老化した皮膚やアトピー性皮膚炎の皮膚において減少しているという報告もあることから、そういったバリアが乱れがちな皮膚にとって、補給が大切な成分のひとつと考えています。

※4:ジヒドロキシリグノセロイルフィトスフィンゴシン、セラミド6II、セラミド1、セラミド2、 セラミド3、セラミドEOS、 カプロオイルフィトスフィンゴシン、カプロオイルスフィンゴシン、コレステロール、ベヘン酸

試験方法
三次元培養皮膚モデルに細胞間脂質コンプレックス溶液を塗布し培養後、脂質を抽出した。抽出した脂質溶液を解析し、コントロールを100%としたときのセラミド量を算出した。

考察

今回我々は、新セラミド成分について世界で初めて化粧品への配合を実現化しました。今回の結果から、この新セラミドを含んだセラミド混合物や細胞間脂質セラミドコンプレックスには、細胞間脂質のバランスを整え、バリア機能を強める効果があり、乾燥肌や敏感肌へ有用だと考えております。当社は今後もセラミドをはじめとする細胞間脂質やうるおいについての研究を進め、ひとりひとりのお客様にご満足いただける製品開発を目指していきます。