ロート製薬会長と気鋭の音楽家が語る
「あなたの心を動かしたい」が挑戦を支えている
角野 隼斗(ピアニスト・音楽家)
山田 邦雄(ロート製薬 代表取締役会長)
創業126周年を迎えたロート製薬の新アンバサダーに、世界各地で公演し、作曲や編曲などを行うピアニスト・音楽家の角野隼斗さんが就任した。今回は、同社の山田邦雄代表取締役会長と初対談。終盤にはピアノを嗜む会長と即興で連弾するなど、和やかな雰囲気で語り合った共通する思いとは。
スキンケアや食事業も健やかな生活への挑戦
山田 以前から角野さんの演奏をYouTubeなどで拝見していて、ユニークな活動に注目していました。当社としても世界に羽ばたく若い人を応援したい思いがあり、今回アンバサダーの就任をお願いした次第です。
角野 光栄です。ロート製薬には以前から親しみがあります。僕は近眼でコンタクトレンズが手放せないのですが、とにかく乾燥する。そのため「ロートCキューブ」をはじめ、ロートの目薬をいろいろ試しています。目薬は演奏前にも使いたい、大切なアイテムです。
山田 ありがとうございます。世間的にも、「ロート製薬といえば目薬」というイメージがあると思いますが、当社では製薬事業だけでなく、「肌ラボ」や「オバジ」といったスキンケアブランドも展開しています。スキンケアというと見た目の美しさが語られがちですが、私たちが大切にしているのは「肌の健康」。今まで培ってきた研究姿勢を大切にしながら、サイエンスに立脚した効果を届けたいという思いがあります。
角野 メンソレータムのリップクリームも手がけているそうですね。身近なところにロート製薬の商品がいくつもあるのを知って、驚きました。
山田 最近では、食事業や農業にも参入しているんですよ。一見、バラバラのことをやっているようですが、テーマは一貫しており、「多くの人が健康にイキイキと生活できるようにサポートしたい」という思いが通底しています。
角野 薬をつくるだけではなく、その前段階である「日々の生活をより良くすること」に目を向けているのですね。
「瞳の美しさ」が印象的な角野さん。
目薬は、瞳を潤わせてくれる役目も
手持ちの商品/販売名:Vロートプレミアム
第2類医薬品目の疲れ、充血に
自分だけの強みを見つけていきたい
山田 角野さんもクラシックのピアニストに限定せず、作曲や編曲を手がけたり、「かてぃん」名義でジャズやポップス、アニメ曲など、様々なジャンルの楽曲をYouTubeで披露したりするなど幅広く活動していますが、どのような経緯で今の道に進んだのでしょうか。
角野 もともと10代の頃から、好奇心の赴くまま興味のあることに取り組んできて、それが今につながっている感じです。
山田 たしか、大学院で研究にも取り組んでいたんですよね。
角野 はい、AIの機械学習を音源分離に用いる研究をしていました。並行してピアノもずっと続けてきて、2018年にピティナ・ピアノコンペティションでグランプリをとり、その2年後に修士課程を修了したとき、ピアニストになるか研究の道に進むか悩んだんです。当時は、クラシックのピアニストとして活動しながら作曲や編曲をしている人は周囲を見渡してもあまりいなかったので、だったらこっちをやってみよう、と。仕事としてどのような結果が出るのかは未知数でしたが、好きなようにやってきたことをこのまま伸ばしていこうと思いました。
山田 まだ人がやっていないことに挑戦するのは、勇気がいるのでは?
角野 そうですね。「まだ誰もやっていないこと」かつ、「社会の役に立ったり、ダイレクトに役立つとまではいかなくても、誰かの心を動かしたりできること」をやりたい、と常に思っています。そのため「自分の活動は、誰かの明日の活力につながっているのだろうか」と自問自答することもあるんです。
山田 「心を動かしたい」という思いは非常に共感します。というのも、私たちの仕事の中心にも、いつも「人の心」があるからです。当社では今、「ロートは、ハートだ。」というコーポレートスローガンを掲げています。これは「人の想いに寄り添い、人を心から元気にしたい」「心を動かすことで未来をより良いものにしていきたい」という情熱を表現したもの。この情熱が新たな分野への挑戦や、日々の製品開発を支えています。そういった意味では、角野さんと共通している部分があると感じますね。
角野 僕も音楽家として挑戦を続けることが必要だといつも感じています。それもあって、一度環境を変えようと思い、2年前、生まれ育った日本を離れてニューヨークに移り住みました。
山田 気持ちの変化はありましたか?
角野 ニューヨークではみんなが異なるのが当たり前なので、「自分だけの強みや個性を見つけなければ」という気持ちにさせられます。活動面での変化も大きく、昨年からは米国や欧州でのコンサートが格段に増えました。
山田 フィギュアスケーターの鍵山優真選手のエキシビション用の楽曲を作曲するなど、異分野の方ともコラボレーションしているそうですね。
角野 ええ、他のジャンルの方々と接すると自分が知らないことがたくさんあると実感させられますし、創作においても大きな刺激になっています。フィギュアスケートと演奏は「自分の体を使う」という点で共通しています。特に鍵山選手は、無駄な動きを極限まで削ぎ落とした美しい滑りを体現していて、それは演奏においても必要な要素だと感じました。
諦めず、歩み続ける企業でありたい
山田 実は私も、趣味レベルではあるのですが、子どもの頃からピアノを続けているんです。途中、練習から遠ざかっていた時期もありますが、やはり音楽は生活に潤いを与えてくれますね。
角野 どんな曲がお好きですか。
山田 一番頑張ったのはショパンの「英雄ポロネーズ」です。他にも20代の頃に練習していた曲をいまだに練習したりしていて(笑)。でも、諦めないという点ではビジネスにも通じているのかもしれません。というのは、先述した「ロートは、ハートだ。」の1代前のコーポレートスローガンが「NEVER SAY NEVER」つまり「『絶対できない』なんて言わない」だったんですよ。諦めず、歩み続ける企業でありたいと思っています。
角野 研究や商品開発では、どのような視点を大事にしているのでしょうか。
山田 有効な治療法が確立されていない疾患への医療ニーズに対応する研究や、「こんなものがあったらいいな」という思いを汲み取った商品開発を心がけています。変化の激しい世の中ではニーズも刻々と変わっていくので、柔軟さも必要です。当社では今、再生医療の研究にも取り組んでおり、この先、従来の発想ではできなかったことが実現できる世の中になっていくと思っています。角野さんが今後、実現したいことはなんでしょうか。
角野 いつか宇宙で演奏してみたいですね。ピアノの鍵盤は重力があることを前提にして作られているので、無重力空間で弾いたらどうなるのか興味があります。
山田 面白いですね。きっと実現できる日が来ると思いますよ。世の中に「絶対できない」はないのですから。
角野さん衣装/ジャケット¥101,200 ニット¥46,200 パンツ¥39,600 シューズ¥84,700(いずれも税込み、ランバン コレクション/ランバン コレクション 表参道店)
文/音部美穂 撮影/吉場正和 デザイン/スープアップデザインズ ヘア&メイク/MAIMI スタイリスト/金野春奈
撮影協力/スタインウェイ&サンズ東京 制作/朝日新聞出版メディアプロデュース部ブランドスタジオ 企画/AERA DIGITAL AD セクション
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