社員の健康から社会の健康へ
一人ひとりの小さな取り組みをつなげていきたい
Keywords:健康人財, きっかけづくり
私たちが目指すWell-beingな社会を実現するためには、心身の健康が欠かせません。
そのためには、まず会社を構成している社員一人ひとりが健康であってほしい。その思いは創業当時から変わらず、今の時代に受け継がれています。
ロートの健康経営は、単なる制度や環境づくりにとどまりません。社員一人ひとりが自らの健康に前向きに取り組める「きっかけづくり」が重要なのです。
圓尾 奈緒美 -人事総務部
受け継がれてきた
社員一人ひとりを大切にする社風
今でこそ各企業が「健康経営」に積極的に取り組んでいますが、私たちロート製薬は健康経営という名前すら存在してない時代から、大切な社員一人ひとりの健康に心を配ってきました。1899年に創業したロート製薬の前身「信天堂 山田安民薬房」の時代から、「お客さまを健康にするためには、従業員が健康であれ」という考え方がありました。
胃腸薬や目薬を通じて会社の規模が大きくなり、社員の仕事が忙しくなるなかで、1930年頃より、二代目の山田輝郎はより会社にくるのが楽しみになるような理想的な環境を持つ事業場をつくりたいと想いを抱くように。
戦後の高度経済成長期において、お客さまの日々の生活でも健康が意識されはじめ、企業としてさらに高い生産能力が求められるようになりました。1959年、「ロートユートピア」として設立された大阪本社は最先端の生産機器を導入したほか、当時としては珍しく冷暖房が完備され、目の前に広がる池ではボートを漕いでくつろいだり、体育館で卓球を楽しんだり、夏場は終業後にプールで泳いだりなど、働きながらも楽しく体を動かす社員の姿が見られるようになりました。
また、1980年ごろからは、数年に一度、全社員が参加する「大運動会」を開催。「レクリエーションではなく仕事の一環」として、チームに分かれて真剣勝負が繰り広げられます。勝敗だけでなく重要だと考えているのが、仲間が一体になれるプログラムや一致団結したチームになるための仕掛けを考えるなど、協力して何かを成し遂げるというプロセス。単なる運動機会だけでなく、日常の仕事においても円滑なコミュニケーションを促し、社員同士のつながりを深めることにもつながっています。
社員自らが健康課題に向き合う
その「自律」を軸に
2003年、ロート製薬では「ARK(アーク)プロジェクト」が発足します。これは「A(あしたの)R(ロートを)K(考える)」の略で、どうしたらもっと働きやすいか、モチベーションを持って仕事ができるか、社会に対してできることは何か、手を挙げた有志社員によってその時々の会社の経営課題を検討し提案する取り組みです。人事制度や環境への取り組みのほか、「薬育」や「卒煙」といった健康意識を高める活動も、このプロジェクトを通して、社員の声から生まれています。
2016年には人事総務部内に健康経営推進グループが設置されますが、これもARKからの社員の提案で生まれた組織。現在はこのグループが中心となって、社員の健康づくりに向けたさまざまなアクションを企画・実施しています。
自身のカラダを「知る」
最初の一歩の充実を
心身の健康を保つには、まずは自分の健康状態を知ったり、健康にまつわる知識を自らつけていくことが第一歩。
ロート製薬では、一人ひとりの健康診断の充実化に早くから取り組んでいます。例えば、メタボリックシンドロームに着目した「特定健康診査」は、一般的に40歳以上からとされていますが、ロート製薬では30歳から受けることができます。2016年からは、婦人科検診(乳がん検診、子宮頸がん健診)を無料化しました。さらに2022年4月には、ロートグループ健康保険組合を設立し、グループ会社や社員の家族にも健康診断の充実などをはかっています。
そして、毎年「体力測定」を行い、自分の健康状態を健康診断とは違った角度から測り、体力づくりスタートの一つのきっかけとしています。単に体力を測るだけでなく、脳活年齢、体力年齢、歩行年齢を合わせた「健全年齢」として状況を把握し、フィードバックをもとに、運動習慣を見直すきっかけにもなっています。
また、健康にまつわる知識を身につけられる「健康ドリル」を毎日実施。1日1問、健康に関する豆知識をクイズ形式で出題し、各自で回答をする仕組みです。
定点的に一人ひとりがあらゆる角度で身体の状態をチェックするきっかけだけでなく、日々健康づくりに役立つきっかけを提供しています。
継続できなければ意味がない
毎日の「習慣化」こそ鍵
健康な生活を送るには、毎日コツコツと続けられることが重要。ロート製薬では「1日8,000歩、早歩き20分」を推奨し、社員に活動量計を貸与しています。とはいえ、一人ひとりのモチベーションは異なります。そこで、チーム対抗戦で達成率を競いあうイベント「とこチャレ」を定期的に実施したり、「1日8,000歩、早歩き20分」の達成率などによって貯まる“健康社内通貨”「ARUCO(アルコ)」をスタート。貯まったARUCOは健康グッズや社員向けサイトでの買い物、健康診断のオプションの費用へ交換など、さまざまな用途で利用できます。
また、喫煙率0%にもチャレンジしています。最近では喫煙者の数は減少傾向にありますが、ロート製薬では1996年から社内禁煙ルールを導入するなど、早い段階から社員の卒煙サポートに取り組んでいます。2018年には全社員の非喫煙率0%を目指し、さまざまな取り組みがスタート。その一つとして喫煙者が自ら企画したのが、卒煙したいと思っている社員が出走馬となって卒煙へのチャレンジを行う「卒煙ダービー」です。
3ヶ月にわたる取り組みですが、参加者以外のメンバーは応援する人を選び、「卒煙サポーター」として一緒になって卒煙完走を目指します。定期的に進捗を確認するだけでなく、一緒に気分転換を行ったり、差し入れをしたり、みんなで楽しみながら取り組むことができ、3ヶ月後には参加した全員が卒煙を達成。その結果、2018年3月1日時点で11.6%だった喫煙者が、2020年4月3日時点で0.1%を達成し、引き続き0%になるまで、挑戦は続きます。
次世代へと健康の輪を広げるために、
一人ひとりの自律を大きなうねりへ
私たちロート製薬が考える健康とは「単に病気ではない」ということだけではありません。一人ひとりが心身の健康を土台として、働きがいや生きがい、想いを持って日々を生き、仕事に取り組むことができてこそ 「真の健康」であると考えています。さらに、そんな社員が世の中の健康を支えていくでしょう。
ただ、社員一人ひとり、ライフステージが異なり、抱える悩みや健康課題もさまざま。日々の生活を見直し、Well-beingの実現に向けて自走できるためにも、一人ひとりに寄り添ったケアとしてキャリアと家庭(子育てや介護)の両立支援のサポートや、プライベートな悩みに対する相談窓口を設けるなど、新たな取り組みも始めています。
その点で、ロート製薬の健康促進施策には、重要な側面があります。それは「人と人とのつながり」。体力測定やウォーキングイベントなどを行うと、社内のあちこちで職場や部門に関係なく社員の皆さんが楽しそうに話している姿が見られます。業務だけの関係性ではなかなか話すきっかけがなくても、一緒に取り組んでいるイベントなど共通の話題があれば、普段話さない人とも話しやすくなります。社員同士が部門の壁なくコミュニケーションが取れるようになる。すると、のちのち仕事を共にする際にも相談しやすくなり、仕事のクオリティやスピードアップにも、ひいては社会の“健康”への貢献という同じ目標に向かって、よりよい仕事を創造することにつながると思うのです。また、自身の理解者が社内に増えることにより、心理的安全性が担保されたり、仲間と共に過ごす楽しみが増えたり、健康で充実した毎日を送ることにつながっていると考えています。
スタートは一人ひとりの小さな気持ちの変化や行動かもしれませんが、それが集まると大きなプラスのエネルギーになるはず。個人の健康から社内や家族へ、社内から地域や社会へと広がり、次世代へとつながっていくことを目指して、日々の取り組みに強い思いをもって進めていきたいと考えています。
企業は何のためにあるのだろうか?
希望ある未来につなげるために、ロート製薬が目指す企業の姿とは? 代表取締役会長の山田邦雄が想いを語ります。
Keywords:社会の公器, 未来の社会
「想い」が品質につながるから 人と技術が融合した「進化する工場」をつくりたい
高品質な製品を多くの人に届けるために、ロート製薬が目指す製品づくりの現場とは?
Keywords:スマート工場, 人と技術の融合
国ごとに異なるお客様のニーズにAllロートグループで応えていきたい
世界中に貢献するために、一人ひとりが各国に寄り添い取り組んでいます。
Keywords:現地に根づく, グループ間連携