未来ある若者の夢をつなぐ「みちのく未来基金」

2015年8月25日

奨学金面談の様子


風化を越える子どもたちの支援

東日本大震災より、4年半が経ちます。

被災地以外では当時の記憶がうすれる「風化」がかなり進んでいると言われています。当時にくらべ、一般生活者だけではなく、NPOや企業の多くも支援を終える所が増えているのが現状。そんな中で、25年間という超長期の遺児・孤児支援をする「みちのく未来基金」というプロジェクトがあります。

「みちのく未来基金」とは、公益財団法人 みちのく未来基金が運営する、東日本大震災で両親またはどちらかの親を亡くした子どもたちの、高校卒業後の進学のための奨学基金です。

震災当時お腹の中にいた子が卒業するその日まで活動継続を約束し、学校の入学金・授業料の全額を返済不要で給付するプログラム。2011年10月の基金設立はロート製薬、カゴメ、カルビーの3社で行い、その後エバラ食品工業が参加、現在4社体制での運営となり、別途、法人・個人からの寄付も受け付けています。

また基金スタッフとして、運営の4社から社員が派遣されており、ロート製薬でからは社内公募で選ばれた社員が専属で派遣されています。業務として、遺児がいる高校をすべて訪問し、さらに寄付受付窓口も担当しているとのこと。特に窓口業務は寄付者と子どもたちをつなぐ重要な橋渡し役。長期に渡るプログラムなだけに、“顔の見える支援”が重要なのかもしれません。

企業にとって数年先の未来でさえ不確実であるのに、異業種の民間企業が合同で25年間にわたり支援を展開するのは珍しい取組みと言えます。未来を作る子どもたちへの支援として、企業の社会的責任(CSR)を果たしているとも言えるでしょう。しかし、現地NPOなどに寄付して終わりではなく、民間企業で長期的な活動をするというのは大変なこと。それでも実施に至ったのは、ある理由からだそうです。



今だからできること、今だから作れる未来

「神戸でやり残したことがある」。ある会合で発した山田邦雄さん(ロート製薬 代表取締役会長)の言葉です。

大阪に本社のあるロート製薬は1995年の「阪神・淡路大震災」を経験した企業の1つ。当時は子どもたちのたちの支援まで、満足にできなかったそうです。しかし、子どもたちの未来を支援することは街の未来に大きく関ること。支援をほとんどできなかったことを悔やんでいたそうです。

そんな苦い経験から、東日本大震災では長期的な子どもたちの支援をすべく、震災発生より約2週間という早いスピードで社内に「復興支援室」を立ち上げ、4月4日に現地入りしてまずは学校に薬箱を届ける活動を開始。そして、様々な困難を乗り越え、同年10月にみちのく未来基金を立ち上げました。

この設立までのエピソードは、小冊子「震災遺児に進学の夢を〜みちのく未来基金 設立の記録」(PDF)に詳細が書かれているので興味のある方は、ぜひご覧になってください。

基金の4年近くの活動を通じ、奨学金給付延べ人数は424人に。約2,000人とも言われる震災遺児・孤児の3割近くをカバーしており、給付の時は必ず個別訪問し面談し、その後も継続的に学生の状態をチェックしているそうです。一方的な支援ではなく、コミュニティを作り、顔の見える支援を行っているのも1つの特徴と言えます。

成人になる前の子どもが親や家族を災害で亡くす、その気持ちのすべてを支えることはできませんが、今後の未来を社会全体で支えることはできます。“夢を諦めないですむ”という状況を作る、その意義に感銘を受けました。

「第4期生の集い」の集合写真



課題と今後の展開

もちろん課題もあります。それは、いまだ全国に散った震災遺児の全員の行方を把握できていないことです。運営スタッフが、出張などの際に新聞社を始めとしたメディアにかけあっているものの、まだまだ出会えていない遺児たちもそれなりにいると考えられています。

これからも声がけを継続していきながら、遺児の進学の夢が途切れない活動をしていくという、みちのく未来基金。活動詳細や寄付情報などは「ウェブサイト」で確認してください。今後の活動にもぜひ注目してみましょう。