よみがえった93年前の小学校。子どもたちの自然体験の場「モリウミアス」

2015年9月11日

手作り露天風呂の壁を竹で作るボランティアスタッフ


子どもたちがたくましく未来を生きるための「モリウミアス」

東日本大震災によって大きな打撃を受けた、宮城県石巻市雄勝町(おがつちょう)。

雄勝町は震災後、4,300人いた人口が1,000人を切ってしまった町ですが、町が誇る雄勝湾は、美しいリアス式海岸に面し、山や森の栄養を豊富に含んだ地下水が海底から湧き出しており、日本屈指の漁場とも言われています。

そして、雄勝町は漁業のみならず、硯(すずり)の産地としても有名で、600年以上の歴史を持つ雄勝硯は、硯の国内生産の90%を占めると言われています。また、雄勝硯の原料となる石を薄く加工したスレート材は、現在の東京駅の屋根にも使われており、もしかしたら皆さんも一度は目にしているかもしれません。

そんな雄勝石のスレート屋根を備えた築93年の小学校が、石巻市雄勝町桑浜地区にあります。残念ながら少子化による統廃合により、13年前に閉校してしまいましたが、高台にあった為、津波の被害からも免れ、多くの雄勝石のスレート屋根がそのまま残る、重要な文化財となっています。

町のシンボルとも言える小学校に、新たな命を吹き込み、子どもたちが再び集い、たくましく生きることを学ぶための施設として甦らそうと、復興支援活動を行なう「公益社団法人sweet treat311」により、2013年4月「雄勝学校再生プロジェクト」がスタートしました。

改装途中の小学校の様子



ボランティアが作った“学校”

プロジェクトは、200人の全国各地から集まってきたボランティアの人たちからスタートし、その後、ほぼ毎週末、20~30人の有志のボランティアがやってきて、みんなの手で学校を再生。2年間で4,000人以上がプロジェクトに携わりました。

そして、桑浜小学校は93年前の雄勝石のスレート屋根はそのままに、2015年7月18日に子どもたちのための自然体験複合型施設「モリウミアス」(MORIUMIUS) としてオープン。

何とも言えない響きのある、この「モリウミアス」という施設名。名前の由来として、「モリ」は雄勝の緑豊かな“森、杜、守”などの守ることの大切さを表し、「ウミ」は雄勝の穏やかで澄んだ“海、生み、産み、熟み”などを表現。

何かを生み出し、熟成させていくことの大切さを表しています。そして「アス」は明日のことであり、英語の「us=私たち」。子どもたちがこれからの時代をたくましくしなやかに生きてほしい、という願いが込められているそうです。

校舎裏に溜まった13年分の土砂をかきだすボランティアスタッフ



モリウミアスを通じてできた絆

子どもたちが生きることを学ぶ施設でありながら、モリウミアスが雄勝町の、そして、世界中のコミュニティの中心となるように構築していく。プロジェクト当初から描く未来のモリウミアスの姿です。これは、地域の人だけでも、外からの人だけでも達成できません。

このモリウミアスを作るにあたり、クラウドファンディング(※)で資金集めをし、この小学校の卒業生や地域住民もプロジェクトに参加。地域住人の皆さんも、全国から途切れなくボランティアが訪れる様子を見て、プロジェクトの本気度を感じ、積極的に協力してくれるようになったそうです。
※不特定多数の人がインターネット経由で資金提供などを行うこと

なお、プロジェクト支援企業であるロート製薬からは、プロジェクトの立ち上げから現在まで、2名の社員がサポートスタッフとして関わっています。延べ人数でいえば、200名以上のロート製薬社員がボランティアスタッフとして「雄勝学校再生プロジェクト」に関わりました。

閉校から13年経った小学校は、雨風によって裏山が崩れ、校舎裏には土砂がたっぷり。機械を入れることができない校舎裏の土砂を掻き出す作業や、校舎内の床を全て剥がし、床下に入り込んだ土砂を掻き出す作業。

何百枚という雄勝石のスレートの屋根を全て取り外し、ピカピカに磨いて、再び屋根として成形する作業など、多くの人手が必要な場面に社員ボランティアが関わったそうです。住人の皆さんやロート製薬以外の支援企業の才能あふれる方々とプロジェクトを通じて触れ合うことで、会社や地域、人種を越えて子どもたちの未来をともに作り上げる大切さを実感した人も多い、ということでした。

現在では、ロート製薬からのスタッフ派遣を知った大手民間企業からも社員が派遣されるなど、様々な会社が混じり合って、子どもたちの未来創り、コミュニティ創りを行っています。



モリウミアスの今後

モリウミアスでは現在、様々な宿泊体験プランが実施されています。プランの中で、子どもたちは雄勝の海に漁に出ることもあれば、まるで木こりのように森の手入れをすることもあるそう。時には苔が覆う岩の感触を確かめながら沢登りをし、源泉を辿るなど、雄勝の自然がむき出しの環境の中で過ごします。

子どもたちだけで参加するプランもあり、親の助けのない中、生活することで、雄勝の自然に育てられ、一回り成長して帰っていく子どもがほとんどだとか。海も山も森も、明日につながっていて、その中で人間が生かされていることを肌で感じ、たくましく生きることを学ぶ場所がモリウミアスです。

モリウミアスの詳細は以下のリンクからごらんください。子ども向け、親子向けプランなどがあります。雄勝の大自然の中で、生きることを学んでみませんか。