薬屋だからこそ、農業と食事業への進出。ヒトと社会を健康にします!

2015年11月27日

必然ともいえる農業、食事業への参入

ここは六本木ヒルズ。
大勢の人が行き交う都会のど真ん中。

そんな六本木ヒルズで行われた東京ハーヴェストにて、奈良県宇陀市にあるハンサムガーデンから直送された生命力あふれる野菜たちが堂々と並んでいます。
この野菜たちの魅力を知ってもらうため、奈良の奥地で畑を耕し、想いを込めて販売しているのが、ロート製薬(株)アグリ・ファーム事業部マネージャー 笹野正広さんです。

(お客様に野菜の説明をする笹野さん)

ロートは、製薬会社。
薬屋なのに、どうしてそこの社員が野菜を作り、販売している社員がいるのか・・・。
多くの人は疑問に思うと思います。

ロートといえば、目薬、胃腸薬、化粧品(肌ラボ、リップクリームなど)を思い浮かべる方も多いでしょう。
そのイメージどおり、ロートは薬や化粧品という分野で115年以上、事業を展開し、人々の美と健康を応援してきました。
今まで通り、商品を発売して、人々に喜びを届けていく。それだけでも美と健康を応援する会社としては十分だったのかもしれません。

しかし、そもそも、ロートが実現したい本当の美と健康は何なのか。
ロートの事業の始まりは胃腸薬。人々の健康を願って生まれた会社だからこそ、その使命を全うするためにはどうするべきなのか・・・。

それらを追求した結果、【薬屋だから、お客様の困った場面に薬で応える】というだけではなく、体の基礎となる食事、その食を生み出す農業が、ヒトが持って生まれた美と健康を引き出し、育み、お客様の未来をさらに彩ることができる。元来、薬も、野山に自生している草から生み出されたものなので、自然と向き合う事業への進出は、ロートの原点回帰。そう考え、数年前から参入を果たしました。

そして、この食事業、農業の一つが、笹野さんが代表を務めるハンサムガーデンです。
このハンサムガーデンは、周りの農家と比べると農地面積も小さく、従業員も少ない、ロートの子会社となって1年半の歩き出したばかりの会社です。
ただ、コンパクトであるからこそ、生産、流通、販売を一貫して行うことができ、ロートにとっても、今までなかった農業や食のノウハウを蓄えることができます。
「ロートでの健康とは何かを突き詰めて考えたら、農業や食に取り組むことは、ごく自然なことだと思う。」と語る笹野さん。
ヒトの健康を突き詰めることを使命としたロートにとって、将来の事業の種になるはず、と考え、日々、畑と向き合っているそうです。

(こちらに話しかけながらも、間引きをする笹野さん。熱心です。)

笹野さんは入社以来、主に、広告制作などのマーケティング畑を歩んできました。ですが、今や、本物の畑を耕しています。
ご本人もまさか、入社して、土と触れ合う日々になるとは・・・と思っているとのこと。
しかし、ヒトの健康が日本の未来を創ると考え、何の経験もない食事業、農業をやってしまうことがロートらしさであると考え、畑と向き合う決意をしたそうです。



食」と「サイエンス」をつなげ、「治療」から「予防」につなげる

ハンサムガーデンの畑は標高350mに位置し、寒暖差により、うまみが凝縮された野菜が採れます。
それだけではなく、肥料は、天然由来の魚かすやアブラかす、馬糞等を使っており、有機農法、循環型農業を行い、手間暇かけて育てています。
確かに、手間はかかるものの、こういった農法は、大昔は日本中、どこの畑でも当たり前のように行われていた農法なのです。
人参、紫いも、とうがらし、茄子、トマト、水菜、ほうれん草、小松菜、そして、奈良の伝統野菜、大和真菜・・・。これ以外にもたくさんの種類の野菜が育ち、収穫されます。

(採れたての大和真菜。アブラナ科で、小松菜に似ています。)

(まるい葉っぱの春菊。珍しいです。)

(出荷前のむらさきいも。大きく育ちました。)

また、この地方の土には、雲母が入っており、土がキラキラと輝いているのが特長。その影響で、採れた野菜はまるで宝石のようにキラキラと輝いて見えます。
そんな野菜たちを、ハンサムガーデンのみなさんは「ゴールデンじゃがいも」「ゴールデン人参」と呼び、収穫を喜びます。
ハンサムガーデンで育った野菜を実際食べたお客様は、スーパーで売っている野菜とはまるで違う、味の濃さ、旨味の強さに、驚く方が非常に多いです。
美味しくて、環境にも優しい農業を実施しているのがハンサムガーデンです。

畑を耕してから、1年半経ち、農地も広がり、採れる野菜の種類も多くなり、ようやくここまでたどり着けた、と語る笹野さん。
有機農法、循環型農業というのは、正直コストも手間もかかるし、最初は今よりも小さい面積の畑だったから、本当に農業ができるのだろうか・・・と思ったそう。
実際、最初の年には売れる野菜がない時期もあり、一筋縄ではいかない農業の大変さを痛感したとのこと。
ただ、できた野菜は、何より美味しいし、そして、栄養価も高い。畑と向き合い、畑の声を聞き、旬の野菜を旬な時期に届けることが、ここで採れた野菜の魅力を 存分に味わってもらえることだと気づき、農業と食の可能性の広さに、どんどん意欲が湧いていったと言います。

ロートの食事業は、美味しいのは当たり前で、そのうえ、体をつくる機能性を持った食であることを前提としています。
しかしながら、食がもたらす機能については、未知の分野というのがたくさんあります。
だからこそ、ロートは、115年以上、薬の研究で培ってきた技術を駆使し、未知なる分野の「食」と「サイエンス」をつなげ、「治療」から「予防」につなげていき、ヒトを健康にすることを目指しています。



健康を軸にヒトと社会の未来を広げたい

ハンサムガーデンを通じて、宇陀市と関わるようになったロート。
宇陀市には、日本書紀にも推古天皇が宇陀地方で薬狩りをされた(611年)という記述があるほど、古来より生薬が育つ土地と言われています。
しかし、近年の奈良での生薬産業は衰退の一途をたどっており、生薬栽培の後継者不足問題も起こるなど、明るいニュースが多いわけではありませんでした。
薬と健康に関わる企業として、また、自然から生まれた生薬が持つ効果を知っていたロートとしては、この状況を見過ごすわけにはいかない。素晴らしい生薬が育つこの土地で、眠っていた生薬栽培を復活させて、生薬の魅力を感じた若者たちを後継者として育てていくことで、生薬もこの土地もかつての盛り上がりを見せてほしい。
そして、それを民間企業であるロートが奈良県と一緒にやっていくことで、民間だけ、行政だけでやるのでは到達できなかった新しい産業や未来が生まれるはず。
そう考えて、2015年3月に奈良県と包括提携を結び、奈良県産農作物のブランディングや販促、生薬の推進、農村地域の活性化、農業の担い手の育成などを奈良県と共に行うことを決めました。
ハンサムガーデンでも、生薬の試験栽培を手掛けており、2015年8月には、宇陀市で漢方薬を手掛けるテラスと一緒に漢方薬の原料となるトウキやボウフウなどの薬用植物の栽培を始めています。

最初は4人で始まったハンサムガーデンも、今はメンバーが8名となり、さらには、若手農業家が2名、修行中です。
2人ともここで有機農法、循環型農業のノウハウを学び、いずれは自分の畑を持ちたいと思っているそう。
ハンサムガーデンの魅力は?と聞いたところ、野菜の美味しさはもとより、連帯感の強さ、メンバーの距離の近さ、とのこと。
最初は、ロート製薬の社員がいるということで、固い雰囲気なのかな、と思っていたそうですが、そんなことはなく、年上・年下関係なく、あだ名で呼びあうところに嬉しさを感じ、壁のなさを感じているそうです。
また、農業人としてだけではなく、社会人としての基礎もここで学ぶことができるから、今、できるだけ様々なことを吸収しないと・・・と思っている、と話してくれました。

食、農業、奈良県との包括提携・・・。
美と健康の会社から始まったロート製薬は、ヒトと社会を健康にするロート製薬へと進化しようとしています。
切っても切れない食と健康の関係。未知なる分野だからこそ、可能性もたくさんある食の世界。
ヒトの健康づくりで日本の未来を支えていくロートのチャレンジはまだ始まったばかりです。