CROSS TALK - 01
ボラギノール越境ECプロジェクト
国を越えて愛されるブランドをつくろう。
初の越境ECを、2社の強みを活かしながら。
- プロジェクト概要
- ロート製薬とグループ会社の天藤製薬が協力。天藤製薬の主力製品である「ボラギノール」シリーズについて、中国での越境EC事業を2023年に始めました。「ボラギノール」シリーズにとっては、国を越える挑戦は初めて。中国でどのようにブランドを育てるべきか。現地の商流をどのように構築していくか。互いの企業の得意分野を活かしながら、スピード感を持って進めることができました。
- ※EC(eコマース):インターネット通販。国境を越えて世界中のものが購入できる「越境EC」についての取組
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ビジネス企画職
国際事業推進部いできん
2011年新卒入社。これまでにも越境ECプロジェクトで一部工程を任された経験はあったものの、全体統括を行うのは初めて。ブランド戦略からプロモーションまで、全工程に関わった。
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SCM職
製品企画管理部るみこさん
2003年新卒入社。購買物流担当。天藤製薬からのボラギノールの購入や、日本から中国への物流手配などを担当した。
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天藤製薬
経営統括部今井さん
天藤製薬では初めてとなる海外越境ECを担当。ロートとの窓口を担当し、天藤製薬側のメンバーをマネジメントした。
Session - 01
ブランドをつくってきた天藤製薬と、
海外知見を持つロート。
- いできん
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「痔にはボラギノール♪」。日本国内では、誰もが一度は聞いたことのあるフレーズなのではないでしょうか。黄色いパッケージで目を引き、「国民的ブランド」とも呼べる高い知名度を誇る痔のお薬がボラギノールです。
- るみこさん
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そうですね。この記事を読む方の中にも、使ったことのある方がいるかも。あるいは、使ったことはなくとも知っている方が多いと思います。
- いできん
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このボラギノールの商品を、越境ECサイトを通じて中国で販売しようとしたのが今回のプロジェクト。2022年の年末から始動し、2023年4月末には販売開始することができました。
- 今井さん
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私たち天藤製薬は長年ボラギノールをつくってきて、商品のことをよく知っている。海外展開を行うにあたっても、どのようにブランドを育てていこうかと時間をかけて考えてきました。一方でこれまで越境ECの経験はなかったため、足踏みをしてなかなかスタートを切れずにいた。そんな時に声をかけていただいたんですよね。
- いできん
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ロートのもつ知見がグループ会社にまで拡大できれば、もっと多くのお客さまにお届けできる可能性があると思っていました。ひとくちに越境ECといっても、やるべきことは多岐にわたります。そもそも中国でのブランド育成をどのように行うか、誰をターゲットにどのようなプロモーションをするのか。現地企業との契約も進めなければなりませんし、販売に伴って必要な業務のプロセス設計、物流の設計なども必要でした。
- るみこさん
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今回のプロジェクトの場合は、天藤製薬さんが直接商品を中国で売るのではなく、商品を一度ロートが買い取ってロートの資産とした後、ロートが中国の越境ECで販売するという手法を取りました。私はちょうど近い時期に別プロジェクトで台湾でのボラギノールの一般貿易による事業構築を経験していたこともあり、そのときに構築した枠組みを上手く転用できたと自負しています。
- いできん
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そうそう。るみこさんが上手く応用してくれたおかげで、非常にスムーズな進行が叶ったと思います。こういった海外プロジェクトは、立ち上がりから販売開始まで半年以上かかるのが普通ですが、本プロジェクトは4ヶ月程度で販売を開始することができました。
Session - 02
日本の国民的ブランドも、中国での知名度はゼロ。
- るみこさん
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日本のEC戦略と中国の越境EC戦略では、どのようなポイントが違いましたか?
- 今井さん
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まずブランドの認知度が全く異なります。冒頭に話が出たように、日本では知らない人のいないボラギノールですが、中国では知っている人がほぼいない。そもそもどんな商品で、何がいいのかを知ってもらうことからのスタートでした。たとえば、ボラギノールの注入軟膏という形も珍しいので、そのメリットもきちんと伝えられるようにする、とかね。
- いできん
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ターゲットも違いますね。発売を開始して見えたチャンスですが、中国では、マタニティ商品の方が需要もある。そうなると、ステロイドが気になる方にも使いやすい非ステロイド製剤のボラギノールMシリーズがより多く求められていたり。プロモーション方法なども、日本とは変わってきますね。
- 今井さん
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私たちメーカーが「こういうブランドです!」と伝えることは大切である一方、やはり買うお客さまに響かなければ意味がない。どんなお客さまが、どんなことを求めているのか、現地の方の声を知ることが大切ですね。
- るみこさん
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現地のお客さまへのアプローチが異なる他、現地企業との協業も、日本とは違う点があったのではないでしょうか。
- いできん
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そうですね。日本と中国の商習慣はやはり異なります。契約の際には何を重視するか。モノとお金の流れの中で何を利益と捉えるか。交渉し、ときには丁寧に折り合いをつけることが必要でした。
- 今井さん
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スムーズにプロジェクトを進行するために、みなさんが意識していたことはありますか?
- るみこさん
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チーム内ではできるだけ、直接会ってコミュニケーションすることを重視しました。メールや電話を何度もするより、対面の会議を設定した方が顔を見て話すことができ、お互いに悩んでいるポイントをきちんと解決することができました。
- いできん
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私も直接のコミュニケーションは意識していましたね。チーム全体で目的をすり合わせ、達成しようと意識を高めるには、face to faceが大事だった。今井さんもかなり頻繁に私たちのオフィスへ来てくださいました。というか、当たり前のように今井さんがオフィスに馴染んでいて。後ろの席にいつの間にか今井さんが座ってる!ってこと、何度もあった(笑)。
Session - 03
導入しても、終わりじゃない。
立ち上げ経験を、さらなる市場拡大へ活かしていこう。
- いできん
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みなさんが今回のプロジェクトで学んだことや、今後活かしていきたいと思うことについて聞いてみたいです。
- るみこさん
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私は、購買や海外における物流に携わる経験が得られました。実はこのプロジェクトを経験後、購買担当の仕事から、信頼性保証部という品質に携わる仕事へ異動しました。よくメーカーが重視すべきことの3要素として、「QCD」※といいますよね。コストや納期について学んだ上で、今度は品質について学ぼうとしているところ。QCDのバランスを考えた判断ができるようになれたらと考えています。
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※QCD:Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)
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- いできん
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QCDはバランスが大事なんですね。
- るみこさん
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そうですね。高い品質の製品をつくることは大事なのですが、お客さまから求められていない品質を追求しても、無駄にコストが上がるなど独りよがりになってしまうことがあります。逆にコストダウンを意識しすぎて、品質を落としてしまってもいけません。全体を見て、その時々何をすべきかが大切になります。
- いできん
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今井さんは、このプロジェクトから得られたものはありますか?
- 今井さん
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私は、ロート製薬と一緒に仕事ができたことそのものがいい刺激となりました。とくに印象的だったのは、ロートのみなさんのチャレンジングな姿勢です。難しいからやらない、ではなく、難しいからこそどうやったらできるだろう?とまず考える方が多かった。これまでの自分たちはどこか守りに入ってしまったり、大きな変化を起こす風土が根付いていなかったりするのではないかと、自社の在り方を改めて考えるきっかけになりました。
- いできん
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私たちにも多くの学びがありました。ボラギノールの中国越境EC事業はまだまだ始まったばかり。現時点で集まった販売データやお客さまの声を見るだけでも、知らなかったことがたくさん見つかっています。今後は中国国内の流行なども加味しながら、より広い顧客層へアプローチしたいですね。新しいチャレンジをした分、ボラギノールの成長につながっていったら嬉しいです。
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