CROSS TALK - 03
愛知県大府市産学連携プロジェクト「子どもの近視予防プロジェクト」
地域で手をとり、地域の健康を考える。
商品を売るだけではない、次の貢献へ。
- プロジェクト概要
- 2022年、愛知県大府市の取り組みで、小学生以下の子どもを対象とした「子どもの近視予防プロジェクト」が産官学民連携で発足。大府市の啓発事業に賛同した、スギ薬局、名古屋大学大学院医学系研究科眼科学・感覚器障害制御学教室(以下、名古屋大学)、ロート製薬が相互に協力・連携し、日常生活に取り入れられる近視予防のための取り組み支援などの啓発活動を行っています。プロジェクトの企画から実行までをロート社内で中心的に担った3人の想いとは?
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ビジネス企画
ヘルスサイエンス研究企画部くらこ
2013年新卒入社。プロジェクト全体の施策考案や名古屋大学など外部機関との連携を担当。
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ビジネス企画
HB近畿中部事業部かほちゃん
2005年新卒入社。大府市と連携し、市のやりたいことを具体化。小学校向けの出張授業などを行う。
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研究開発
アイケア製品開発部そねちゃん
2018年新卒入社。学生時代に緑内障研究、ロート入社後は近視研究を経験。プロジェクトでは、測定イベントの設計や名古屋大学との連携を担当。
Session - 01
測って、知って、行動してもらう。
4者が協力する、産学連携プロジェクト。
- くらこ
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ロートの営業では、その地域の健康を起点とした提案・取り組みを行っており、大府市に本社を置くスギ薬局さまとのつながりから大府市さまともご縁ができました。
- かほちゃん
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4者の協力プロジェクトですが、役割分担としては、大府市がリーダーで、全体の窓口と運営を担当。スギ薬局さまが情報提供、名古屋大学が測定協力と医学的助言を行い、ロートは企画立案・情報提供を担っています。それぞれの強みを発揮したプロジェクトですね。
- くらこ
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このプロジェクトは2022年に発足し、大きくふたつのアプローチからスタートしました。まずは、測って自分の目の状態を知ってもらうこと。そして、知って行動してもらうこと。
- そねちゃん
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測って知ってもらうことについては、名古屋大学の眼科医の先生や視能訓練士の方の協力の下、小学生の親子100組を対象に測定会を行いました。視力や眼軸長と呼ばれる眼の長さなどを測定。まずは自分の眼がどんな状態なのか、現状の理解をしてもらいました。
- くらこ
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測定はその道のプロである名古屋大学の方との連携・協力が重要でしたね。
- そねちゃん
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そうですね。名古屋大学は医療機関でもあり研究機関でもあるので、イベントへ来てくれた人に現状を知ってもらうことだけでなく、参加者の測定データから近視と関連性の高い要素・要因を見つけ出して、目の未来予測ができないか?など、研究方面でも広がりを検討しています。
- くらこ
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それから啓発のため、かほさんを中心に小学校での出張授業なども実施しました。
- かほちゃん
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知って行動してもらう、の部分ですね。普通に目の健康に関する授業をやっても、子どもたちには難しい。授業の内容について、くらこさんとも、行政の方とも、一緒に考え工夫を凝らしました。
- くらこ
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プロジェクトでは、大府市役所の方が私たちのアイディアを、さらに応用してくださることも多かったです。授業で知ってもらうだけでなく、知識を行動に移せるように。「①外でも遊ぼう」「②○○分に1回は遠くを見よう」など、行動目標を記したカレンダーを配り、守れたら毎日シールを貼る仕組みにするなどですね。生活リズムが変わる長期休暇時は、より行動目標を意識してもらいたい時期。23年度は大府市の方が私たちのアイディアをさらに応用してくださって、対象を市内の1年生全員に拡大して夏休みの宿題に行動ルールを組み込んでもらった学校もありました。
Session - 02
啓発し、行動変容へ。
商品ありきではない、ロートの地域貢献。
- かほちゃん
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プロジェクトを通じて、職種の垣根なくみんなで協力できたプロジェクトだったと思います。全体の設計や企画はみんなでアイディアを出し合ったし、知見の足りないところは社内外の力を借りて。
- くらこ
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ターゲットが子どもで、テーマが近視。過去に経験のないところだったのが面白くもあり難しくもあった気がします。一般的にあまり知られていないエビデンスを一般の方に分かりやすくかみ砕いて伝え、行動変容を促す。生活習慣まで提案するのは初めてでした。
- そねちゃん
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社内にも経験者がいない分野だったので、そこもチャレンジングでしたよね。
- くらこ
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そうなんです。目薬に詳しい人はたくさんいるけれど、近視に詳しい人は限られている。
- そねちゃん
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個人的には、人を相手にするもの、つまり臨床研究が初めてでしたね。普段は基礎研究を担当しているので、研究をするとしても細胞を中心に実験をすることが多いです。臨床開発部門のメンバーに話を聞いたり、書籍を見て勉強したりしました。
- かほちゃん
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私は、子ども相手というのが初めての経験で非常に苦心しました。数分で集中力が切れてしまうのはどう惹きつけようか、イラストやシールはどうだろう、文字の大きさはどれくらいか……と様々悩みましたね。自分の子どもを見ていてもそうですが、やっぱり言うだけでは子どもに響かないし、強く言うともっとダメ。子どもが自主的に動きたくなる企画を考える必要があり、勉強になりました。
- くらこ
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ごほうびにシールを貼っていいよ、とか、導入として紙粘土で目玉を一緒につくろう、とかですね。たしかに商品を届けるためのお客さまとの向き合い方とは違う施策が必要だったなと思います。
Session - 03
知見を活用し、より広く目の健康を届けたい。
- そねちゃん
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今後もプロジェクトは続きますが、このプロジェクトから学んだことや、これからやってみたいことなどはありますか?
- くらこ
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今回のプロジェクトを通じて、新たなノウハウがロート内に溜まった実感があります。それを、今後のプロジェクトにはもちろんですが、その他の領域も含めて活かしていけると思います。プロジェクトに関していえば、子ども以外の年代をターゲットにしたり、近視以外の疾患にも取り組んだりしたいです。
- そねちゃん
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子どもをターゲットにしたら今度はその親世代にもアプローチしやすいですし、近視と関係の深い緑内障リスクについても啓発していきたいですね。一口に目の健康といっても様々なので、できることはたくさんあると思います。
- かほちゃん
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広げる活動とは真逆ですが、これまで以上に地域に根ざした活動もできるのではないかと考えています。
- くらこ
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ドラッグストアなど、地域の小売店の皆さんとのより密接な連携ですよね。
- かほちゃん
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はい。ドラッグストアって街中にも郊外にもある。その上、学校とも病院とも異なる、その地域の健康を担う拠点です。日常的に、気軽に、みんなが立ち寄ることのできる場所。そういった特徴を活かして健康に関するイベントを行うなど、地域に根ざした発信や交流ができれば様々な可能性は広がります。
- くらこ
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たしかにそうですね。産官学民連携のプロジェクトですから、関わるそれぞれの得意や特徴を活かして、よりよい活動に繋げたいですね。
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