CROSS TALK - 01
メラノCC ディープクリア酵素洗顔 開発プロジェクト
待ってくれている人のために諦めない。
「どうすればできるか」だけ、全員で考える。
- プロジェクト概要
- 2022年発売のメラノCC ディープクリア酵素洗顔。多くの要素で注目を浴び、ブランドを代表する商品となりました。ヒット商品を形にし、みなさんへ届けるまでの努力について。研究開発、製剤技術、生産管理を担当した3人に聞きました。
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研究開発
外用薬・ヘアケア製品開発部(元スキンケア製品開発部)まっすー
2014年新卒入社。プロジェクトでは研究開発を担当しており、チューブ型にするというアイデアやそれを実現する処方を考案。
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製剤技術開発
生産技術部すぅちゃん
2019年新卒入社。製剤技術担当として、ラボで成功した商品サンプルを工場での量産ができるようにする。本プロジェクトでは、ラボで開発されたものを工場で生産する方法を設計した。
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ロジスティクス
生産管理部もかさん
2006年キャリア入社。一時は売り切れ・欠品となったメラノCC酵素洗顔。お客さまへ適切に送り届けるべく、社内販売部門や調達部門と連携しながら、OEM先に対し調整・増産依頼を行った。
Session - 01
酵素洗顔といえば、粉。
これまでの多数派を覆すチャレンジ。
- もかさん
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メラノCCの酵素洗顔は、商品そのものを知っている方はたくさんいらっしゃるかもしれません。この商品の何がすごいのか、まずは知ってほしい。それを通じて、私たちがどんなふうにこだわり、検討を重ねていたかを伝えたいです。
- まっすー
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大きなポイントしては、チューブタイプの酵素洗顔であることです。世の中にある酵素洗顔と呼ばれるものは、圧倒的に粉状のものが多い。しかし洗顔料として使いやすいチューブタイプのものにできないかと考えた。そこが核となったアイデアです。
- すぅちゃん
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酵素の中には水との反応で失活してしまうものがあるから、水分を含むチューブタイプって難しい。じつはチャレンジングな処方でクリーム状にしているんですよね。
- まっすー
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そうですね。処方の段階でも難しさがありました。しかし処方が無事決まり、すぅちゃんと一緒に動き出してからも大変でした。
- すぅちゃん
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工場で生産するために沢山検討しましたが、本当にいろいろありましたね。ラボの小さなビーカーでつくるのと、工場の数トンの釜でつくるのでは条件も方法も違う。最初にまっすーさんと私でテストしたときには、全然ダメでした。試作品の蓋を開けたら、中身がクリーム状を保っておらず、ジャーっと流れ出て……。
- もかさん
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ラボと工場の違いがよくわかるエピソードですね。
- すぅちゃん
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そもそもラボと工場とでは設備やスケールが異なるので、製剤の温度変化や製剤への力のかかり方などが違います。今回のメラノCCは、その違いが想定以上だった。そこで工場の環境が製剤へどのように影響するか細かに把握するべく、時間経過ごとの製剤温度の変化を見たり、タンクの中心部と外側での温度差を測ったりしました。
- まっすー
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そこで取ったデータを活用して、製造環境で起こる反応を厳密にラボで再現。処方を改良しました。ちょっとした条件の変化で反応が進むこともあり得るので、製造・出荷が始まってからも、どこか不安はありましたね。
- すぅちゃん
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発売後に大変だったのが、もかさんですよね。
- もかさん
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そうなんです。他の基礎化粧品と比べ、元々ロートは洗顔料にはそれほど強みを持っていません。ところが全国発売後は、一気に欠品・品薄状態。まさかここまで売れるとは思っていませんでした。お客さまはもちろんのこと、小売店のみなさんにもご迷惑をおかけしてしまうことに。生産管理担当者として、営業・流通部門とOEM※先と、交渉する日が続きました。
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※OEM:Original Equipment Manufacturing。他社ブランドの製品を製造すること。ここでは、ロートがメラノCCの製造を他社の工場に製造を委託しており、その製造元の企業について。
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- まっすー
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営業は小売店やお客さまの望み通り届けたいし、しかし工場はそんなに一気に増産できないし。
- もかさん
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生産計画は、本来数ヶ月先まで見越して決めるもの。急な増産に対応できるとは限りません。逆につくりすぎれば在庫を抱えるリスクがあるので、生産管理としてそれはできない。工場の状況を逐一共有し、キャパシティがどれくらい空けられそうか、ならばどれくらいつくれるか確認して。それから出荷予定について小売店のみなさんと連携できるよう、私と営業や流通サポートの方とで密に連絡をとって。みんな欠品させまいと知恵を絞りました。
Session - 02
諦めたくない。
いい商品を世の中に届けたいから。
- もかさん
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おふたりは今回のプロジェクトを振り返って、やってよかったと思うことはありますか?
- すぅちゃん
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研究開発と製剤技術が密に連携できたのがよかったと思います。私はこれまで比較的社内に前例がある処方を担当することが多かったので、メラノCCの酵素洗顔ほど、悩んだ経験がありませんでした。こういうつくり方ならできるかもしれない、ラボでこんなことをテストしてみてほしい、と自ら多くの提案するのは初めてでしたね。
- まっすー
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すぅちゃんはたくさん提案してくれて、ときに無茶振りで(笑)。研究開発と製剤技術であまり仕事を分けることなく、お互い持っている情報はすべて共有していました。気づきはメールですぐに連絡。会議やテストは少なくとも2週間に1回はしていたと思います。
- すぅちゃん
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無茶振りすみません、必死だったから(笑)。私、まっすーさんからサンプルをいただいたとき感動したんです。こんないいものがつくれるんだ!これをみんなにも使ってほしい!と思ったので、中止やペンディングは絶対にしたくなかったんです。
- まっすー
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すぅちゃんから「使用感、本当にいいですね!」と連絡をいただいたときは、素直に嬉しかったですね。頑張ろうと思えました。
- もかさん
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すぅちゃんの気持ち、わかります。使ってほしい、届けたい、という気持ちは生産管理の私も同じだし、商品企画やマーケティング、工場も、営業もみんな同じです。お店に行ってくれた人に、欠品で悲しい想いをさせたくない気持ちで頑張りました。
Session - 03
ひとつのヒット商品をきっかけに、
ロート全体も次の領域へ進む。
- まっすー
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もかさんは、生産管理の視点から、今回のプロジェクトを経験してよかったことはありますか?
- もかさん
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改めてですが、工場や営業と連携することの大切さを感じました。生産管理は、基本的には数字に基づいて判断を行います。在庫数、需給予測、生産数、出荷数……。だからつい、デスクで数字だけを見て考えてしまいがち。でも実際工場に赴いて、 OEM先の生産体制や生産能力への理解を深めたり、密なコミュニケーションで状況を把握したりすることはやはり欠かせないなと。
- すぅちゃん
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研究開発と製剤技術の連携が重要だったのと同じく、生産管理と工場、営業の連携も重要だったプロジェクトでしたね。
- もかさん
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単純に嬉しい気持ちもありますね。メラノCCはここ数年で一気に人気ブランドとなった。その中でも、洗顔はダントツ売れています。商品についているロット番号と呼ばれる識別番号がありますよね。私は入社してから15年くらい経つけれど、その番号の桁の大きさが初めて見るくらい大きくなって。多くの人から求められているんだな、と。生産性や効率だけ考えていてはいけないと、改めて意識しました。おふたりは、今後やってみたいことはありますか?
- まっすー
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洗顔料の成功事例をつくれたことは、大きなターニングポイントなのかなと思っていて。そうやってまた新しい領域で、新しいものをつくりたいですね。できそうだという確信もあります。
- すぅちゃん
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製剤技術チームへの依頼メールにまっすーさんの名前があると、期待が高まります。次はどんな新しいものをつくれるだろうと、ワクワクできる。今後も様々な職種がお互いに期待しあって、次のチャレンジを続けられたらいいですよね。
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