2016年3月11日
美と健康の追求が人びとの明日を拓く……ケニアで叶える夢の続き
世界の現場からロート製薬の今と未来を伝える「グローバルロート通信」。初回は特別編として、ロート・メンソレータム・ケニア社の代表を務める阿子島文子(あこじまふみこ)さんをご紹介しています。ケニアで現地法人を立ち上げた経緯や根底にある思いについて伺った前半に引きつづき、後半ではケニアでの生活のこと、日本との違いや今後の展望などを伺いました。
【グローバルロート通信】〜ケニア前編〜
現地の考え方を受け入れながら、日本式の信念を貫く
−−ケニアでは日本とはまったく異なる文化背景があるかと思うのですが、実際に生活していていかがですか?
ケニアには独自の「アフリカロジカル」があるんですよ。たとえば誰かが間違ったりごまかしたりすると、日本ではちゃんと指摘しますよね。けれどもケニアでは「彼/彼女はこういう人だから」みたいな感じで、指摘したり詮索したりしません。仮に指摘すると、逆に怒りだすくらい(笑)。怒らせてしまうと、そこで終わり。交渉するにしても、怒らせずになんとか粘ってこちらの意見を聞いてもらう……という感じですね。
−−ビジネスの現場としてはやりにくそうですね……。
そうかもしれませんね(笑)。ですから、聞く耳を持ちながらも自分の言いたいことは言うようにしています。「なぜそんなふうに考えるんだろう?」と思うことがたくさんあるのですが、だんだん「どうしてその考えに至るのか」という理由がわかってくると、「なるほど、そういう考え方をするのか」と、受け入れられるようになってきますよ。
「その考え方は間違っているよ」というような判断をつけて話すのではなく、「私はこう思うよ」とか「日本ではこういう風にするんだよ」と文化の違いも含めて話をするようにはしていますね。
−−異文化の国で苦労することも多いかと思いますが、阿子島さんにとって安らげる時間はありますか?
赴任した当初は、なかなかプライベートと仕事の境目をつけられなかったんです。「これはまずいな」と思って、オス猫を飼いはじめました。名前は「チーター」。自宅で仕事をしていても、猫がかまってほしいと寄ってくるんです(笑)。そのおかげでちょっとずつ切り替えられるようになりました。
それに日本人や経営者、女性などいくつかのコミュニティと仲良くさせていただいているので、ホームパーティを開いたり、レストランに食事に行ったりするのも楽しい時間です。ケニアでは高原野菜が栽培されていて、素材そのものがおいしいんです。
−−日本の食材は手に入るのですか?
さすがにそれはむずかしいですね。ボランティア時代は時間もたくさんあったので、「あーうどん食べたい!」と思ったら、小麦粉でうどんを打ったり、大豆から豆腐を作ってみたり、いろいろ工夫していましたね(笑)。最近は中国系のコミュニティの勢いがあるので、おいしい中華料理のお店が増えたり、白菜など中華野菜も手に入るようになったりと、この数年でずいぶん住環境はよくなってきたと思います。
あと気分転換になるのは、ケニアの大自然ですね。サバンナや森、湖や草原など自然豊かな場所へは1~2時間ほど車を走らせれば、行くことができます。間近に野生のキリンやシマウマなどが歩いていて……本当に気持ちをリフレッシュできますし、幸せな環境だなと思います。
美と健康を願うパワーが社会を動かしていく
▲首都・ナイロビで『アクネス』商品の展示・販売を行ったときの様子
−−ケニアでのロート製品の反応はいかがですか?
昨年からロートブランドの製品を発売しはじめたのですが、ニキビケア『アクネス』ブランドはお客さまから非常にいい反響をたくさんいただいています。「5年、10年悩んできたニキビが治った」「ニキビがひどくて、誰かと会うのがイヤだった。でも『アクネス』を使うようになって、今は笑顔で受付の仕事をしていられる」などの生の声をいただけたのはうれしかったですね。命に関わるわけではありませんが、女性にとって大切な「美」を通して人生観を変える大きなお手伝いが出来ていると思います。
やはり美容のもつバワーというか、「人の生活を前向きに変えることが、社会を動かしていく原動力になるのではないか」と思えた出来事でもあります。
−−会社として、そして阿子島さんご自身のこれからのビジョンを教えてください。
今までは市場規模が小さいこともあって、アフリカになかなかビジネスの目が向いていなかったと思います。けれどもこうして情報や製品を届けることが、アフリカの人びとの悩みを解決し、一人ひとりを幸せにすることができるんだと実感しました。ロート製薬が長年取り組んできた美や健康という分野を通して、アフリカの人びとが幸せになるような製品やサービスを提供できればと考えています。美と健康を願うパワーが社会を動かしていくと思うのです。私自身は、ケニアで会社を立ち上げて生活をし、そのなかの一員になることで社会を押し上げていけたらと考えています。
文:大矢幸世+プレスラボ