ロート製薬の再生医療研究を「発毛」の研究へ応用。脂肪由来間葉系幹細胞の発毛研究における新知見

ロート製薬の再生医療研究を「発毛」の研究へ応用 脂肪由来間葉系幹細胞の発毛研究における新知見 世界初!ミノキシジルが脂肪由来幹細胞からの発毛因子の遺伝子発現を高めることを確認

2018年10月9日

ロート製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役会長兼社長:山田邦雄)は、人生100年時代への挑戦をテーマに健康寿命の延伸をめざし、既存のヘルス&ビューティ事業から最先端の「再生医療」や健康の源となる「食」についての事業を進めています。今回、再生医療研究で着目している「幹細胞研究」を発毛研究に応用し、発毛研究で一般的な毛周期ではなく、発毛に重要な脂肪層の「脂肪由来間葉系幹細胞」に着目した新しい発毛研究を実施しました。その結果、世界で初めてミノキシジルが脂肪由来間葉系幹細胞からのFGF7などの発毛関連因子の遺伝子発現産生を高めることを発見しました。脂肪幹細胞が発毛に影響を与えると考えられます。

研究の背景 「再生医療研究」×「発毛研究」

当社はかねてより再生医療の事業化を見据えた幹細胞研究を進める中で脂肪由来間葉系幹細胞の有用性を追求してきました。脂肪由来間葉系幹細胞は体内で様々な効果を持つとして再生医療への応用が期待されています。今回、脂肪由来間葉系幹細胞研究の発想を発毛分野に応用し、研究拠点「ロートリサーチビレッジ京都」において研究を行い新たな知見を見出しました。

ロート製薬の「発毛研究」における着眼点。「なぜ、脂肪由来間葉系幹細胞」なのか

当社の発毛研究は2006年に一般的な「毛周期(ヘアサイクル)」の研究からスタートしました。研究を進める中で発毛には前駆脂肪細胞由来の成長因子が重要であるという知見※1や幹細胞が枯渇化することで毛包が消失するという知見※2が新たに発見されたことより、「毛球部」以外に着目した研究の重要性を感じました。2013年からは成長期毛包にて毛髪が作られている毛球部が脂肪層に存在することから「脂肪由来間葉系幹細胞」に着目した発毛研究を進め、従来の毛周期に着目した研究とは一線を画した観点から検討を進めてきました。

※1:Cell,2011、※2:Nature,2016

ミノキシジルとは

ミノキシジルは発毛・育毛効果が知られる成分で、第一類医薬品(外用剤)の有効成分です。
一部の発毛因子に働きかけると言われているもののメカニズムは不明な点が多く、研究の余地がまだまだあると言われています。今回の研究では、ミノキシジルの脂肪由来幹細胞に対する効果を検討し、世界で初めてFGF7などの発毛因子の遺伝子発現が高まることを見出しました。

研究の成果:ミノキシジルは脂肪由来間葉系幹細胞からの発毛関連因子の産生を高める

発毛や育毛に関わる因子は非常に多く、解明されていない事も多くあります。今回、ミノキシジルが脂肪由来間葉系幹細胞に働きかけ、毛の伸長に重要なFGF7、血管誘導に重要なVEGFA、発毛に重要なPDGFAの発現を亢進することを発見しました。

試験方法:脂肪由来間葉系幹細胞にミノキシジルを添加し24時間後の各因子の遺伝子発現量をリアルタイムPCR法にて測定した。(n=3、ロート研究所実施)検定方法:Student's t-test (* : P < 0.05, ** : P < 0.01)

考察

ミノキシジルの脂肪由来間葉系幹細胞に於けるFGF7などの発毛因子の発現促進作用を初めて発見しました。ミノキシジルは発毛成分として広く知られていますが、今回の結果より脂肪由来間葉系幹細胞を介した発毛・育毛への関与が示唆されました。今後も幹細胞に着目した発毛・育毛研究を進めていきます。

用語解説
  • 毛周期

    毛周期とはヘアサイクルとも呼ばれ、毛の生え代わる周期のことを示します。大きく3つのフェーズがあり、毛幹が伸長する「成長期」、毛幹の伸長が止まり始め毛包が退縮する「退行期」、次の成長期に向けて毛包に毛幹が留まる「休止期」に分けられます。

  • 脂肪由来間葉系幹細胞

    様々な組織の中に存在する体性幹細胞の一つで、中でも脂肪の中にある幹細胞を脂肪由来間葉系幹細胞と呼びます。間葉系幹細胞とは、間葉系に属する細胞(骨や軟骨、脂肪など)への分化能を持つ細胞で、修復部位に遊走し、様々な成長因子を分泌し、組織修復等を行う事も知られています。

  • 発毛・育毛関連因子とは

    成長期の間に新しい毛幹を作り出す過程や伸長する過程で関わる因子を示します。これまでに、FGF7、VEGFA、PDGFAを始め、数多くの因子の関与が報告されています。