乳酸菌WB2000株が歯ぐき細胞(歯根膜線維芽細胞)の成長因子産生を促進。歯根膜や歯周組織の再生に寄与

「人生100年時代」を見据えた「ロート製薬」と「わかもと製薬」の共同研究 乳酸菌WB2000株が歯ぐき細胞(歯根膜線維芽細胞)の成長因子産生を促進 歯根膜や歯周組織の再生に寄与

2018年11月26日

ロート製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役会長兼社長:山田邦雄、以下「ロート製薬」)および、わかもと製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:堀尾 良宏、以下「わかもと製薬」)は、乳酸菌が歯根膜線維芽細胞に与える影響について共同研究を行いました。その結果、わかもと製薬保有の乳酸菌WB2000株が歯根膜線維芽細胞の成長因子産生を促し、歯根膜や歯周組織の維持・再生に寄与する可能性を見出しました。
尚、本成果は第41回日本分子生物学会(11月28~30日、横浜)にて発表予定です。

研究の背景

ロート製薬は長年にわたり、目や皮膚の研究を続け、近年では再生医療分野への進出および幹細胞の皮膚研究への応用など研究の幅を拡げています。その中で、歯を支える「歯根膜」という歯周組織がコラーゲンを主体とし幹細胞も存在するという点で、皮膚と類似の組織であることに着目し、研究範囲を歯科領域へ広げ、歯周組織再生の観点から研究を続けております。
一方、わかもと製薬は長年にわたり、乳酸菌を活用した医薬品・ヘルスケア製品の研究・製品開発を続けており、生きた乳酸菌を配合した薬用歯みがきやオーラルタブレットを発売するなど、歯科分野にもその知見を活用しております。
このように両社が長年培ってきた特徴的な知識・経験をかけあわせることで、人生100年時代を見据えた新たなイノベーションを起こすことを目的とし、共同研究を進めて参りました。その結果、「乳酸菌による歯周組織再生」という観点で新しい知見を得ることができました。

歯根膜について

歯根膜は歯と歯槽骨の間に存在する、線維性結合組織です。歯根膜が歯と歯槽骨を強く連結することで、歯はぐらつかず機能を保つことができます。歯周病が進行すると、歯根膜が慢性的な炎症により破壊されていき、重症の歯周炎では歯がぐらついたり、抜けたりすることもあります。

成長因子について

成長因子は「細胞増殖因子」とも呼ばれる内因性のタンパク質です。その名の通り細胞を増殖させたり、ホルモンやシグナル因子、タンパク質などの産生を促すことで、組織の維持や再生に大きく寄与しています。この成長因子は一般的に加齢とともに産生が低下し、老化現象につながるとも言われています。美容分野などでは、肌の成長因子産生を促す化粧品などの研究も多く行われています。歯周分野においても、加齢とともに歯根膜細胞の成長因子の遺伝子発現が低下するという報告もあり、成長因子を直接歯周組織に埋め込むことで、歯ぐきや歯根膜を再生するという治療も行われています。

研究の成果

乳酸菌WB2000株が歯根膜線維芽細胞の成長因子の遺伝子発現を促進することを発見

VEGF=血管内皮細胞増殖因子(Aは血管、Cはリンパ管新生を主に促す)
PDGF-A=血小板由来成長因子
FGF2=線維芽細胞増殖因子

試験方法:歯根膜線維芽細胞に乳酸菌を添加した時の各成長因子遺伝子の発現をリアルタイムPCR法で確認した。
(n=3, TTEST *:p<0.05, **:p<0.01, ***:p<0.001)

乳酸菌WB2000株が歯根膜線維芽細胞の結合組織を分解する酵素の遺伝子発現を調節することを発見

TIMP1=コラーゲン等を分解するMMPの働きを阻害するタンパク質
MMP2=血管基底膜を分解する生体内酵素

試験方法:歯根膜線維芽細胞に乳酸菌を添加した時の各因子の遺伝子発現をリアルタイムPCR法で確認した。(n=3, TTEST *:p<0.05, **:p<0.01)

乳酸菌WB2000株が歯周組織の維持・再生に関わるタンパク質の産生を促進することを発見

VEGF-A=血管内皮細胞増殖因子(血管新生を促す)
TIMP1=コラーゲン等を分解するMMPの働きを阻害するタンパク質

試験方法:歯根膜線維芽細胞に乳酸菌を添加して培養した後、培養液中に含まれる各タンパク質をELISA法で定量した。(n=3, TTEST **:p<0.01, ***:p<0.001)

考察

本研究により、乳酸菌WB2000株が歯根膜線維芽細胞の成長因子産生を促進したり、組織の分解を抑制する様に体内酵素を調節することを発見しました。これらの結果より、乳酸菌WB2000株は歯根膜および歯周組織の維持・再生をサポートするのに有用であると考えています。