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熱帯フルーツのグァバ等に含まれる「アピゲニン」が網膜炎症に関与するマイクログリアの活性化を抑制する新たなメカニズムを発見

~損傷すると回復が困難な、目の網膜組織の保護に関する研究結果~ 熱帯フルーツのグァバ等に含まれる「アピゲニン」が 網膜炎症に関与するマイクログリアの活性化を抑制する新たなメカニズムを発見

2019年5月22日

ロート製薬株式会社(本社:大阪市、代表取締役会長兼社長:山田邦雄)は、熱帯フルーツのグァバ等に含まれる「アピゲニン」のマイクログリアへの作用について研究を行い、アピゲニンがマイクログリアの活性化を抑制する新たなメカニズムを発見しました。網膜での炎症はマイクログリアの活性化が悪化要因の一つと言われています。研究の結果、アピゲニンは転写因子であるEts2の発現を抑制することで、マイクログリアの活性を抑えることが新たに分かりました。また、グァバ葉抽出物にもマイクログリア活性化を抑制する効果を確認しました(特許出願済:特願2019-086656)。本研究成果は、ARVO 2019 Annual Meeting(2019年4月28日~5月2日、バンクーバーにて開催)で発表しました。

研究成果のポイント

  • アピゲニンがマイクログリアの活性化を抑制する新たなメカニズムを発見した。(結果3-2, 3-3参照)
  • グァバ葉抽出物もマイクログリアの活性化を抑制することを確認した。(結果3-4参照)
  • 脳と同様、網膜は損傷すると回復が困難であり、アピゲニンやグァバ葉抽出物は網膜保護に有用であると示唆される。

マイクログリアが活性化すると、転写因子を介して炎症を制御するMicroRNAであるmiR-155の発現が亢進し、炎症性サイトカインが産生される。
今回の研究では、アピゲニンによる転写因子Ets2の発現抑制作用を初めて発見した。また、miR-155の発現抑制作用、更に炎症性サイトカインIL-1βの発現抑制作用を確認した。

1. 研究の背景

アイケア研究110年のロート製薬は、研究拠点リサーチビレッジ京都にて目薬のみならず眼の疾患に関する研究も進めています。加齢黄斑変性症、緑内障、糖尿病性網膜症など失明の原因となる眼疾患に共通して「マイクログリア」と呼ばれる細胞が関与しています。マイクログリアは脳・脊髄・網膜等から成る中枢神経系に存在します。眼においては、網膜に炎症が起こるとマイクログリアが活性化し、損傷の要因の1つと言われています。

2. アピゲニンについて

アピゲニンはグァバ、セロリ、パセリ等多くの植物に含まれるフラボノイドです(フラボノイドはポリフェノールの一種)。近年、抗酸化作用や抗がん作用など、様々な作用のある成分として注目を集めています。

3. 結果

3-1)アピゲニンは炎症性サイトカイン(IL-1β)の遺伝子発現を抑制した。

試験方法:マイクログリア細胞株に活性化因子であるリポ多糖(LPS)およびアピゲニンを添加し、IL-1βの遺伝子発現変化をqPCRにて定量した。Student's t-test, ***p<0.001 vs LPS, n=4, mean±SD、ロート研究所実施

3-2)アピゲニンはmiR-155の遺伝子発現を抑制した。

試験方法:マイクログリア細胞株にLPSおよびアピゲニンを添加し、miR-155の遺伝子発現変化をqPCRにて定量した。Student's t-test, ***p<0.001 vs LPS, n=4, mean±SD、ロート研究所実施

3-3)アピゲニンはEts2のタンパク質発現を抑制した。

試験方法:マイクログリア細胞株にLPSおよびアピゲニンを添加し、Ets2のタンパク発現量変化をウェスタンブロット法にて定量した。Student's t-test, ***p<0.001 vs LPS, n=4, mean±SD、ロート研究所実施

3-4)グァバ葉抽出物はマイクログリア活性化によるIL-1βの遺伝子発現を抑制した。

試験方法:マイクログリア細胞株にLPSおよびグアバ葉抽出物を添加し、IL-1βの遺伝子発現変化をqPCRにて定量した。Student's t-test, ***p<0.001 vs LPS, n=3, mean±SD、ロート研究所実施

4. 考察

今回の結果から、アピゲニンはEts2の発現を制御することで、miR-155の遺伝子発現を抑制することが確認できました。アピゲニンの含有植物であるグァバ葉抽出物も同様に活性化したマイクログリアにおいて炎症性サイトカインの発現を抑制することを発見しました。アピゲニンやグァバ葉抽出物を含む商品には、マイクログリアが活性化することで生じる網膜炎症の予防や治療効果が期待されます。

用語解説

  • マイクログリア:脳、脊髄、網膜等から成る中枢神経系に存在する免疫細胞。炎症によって活性化し、種々の炎症性サイトカインを放出する。マイクログリアが慢性的に活性化すると、加齢黄斑変性症、緑内障や糖尿病性網膜症を含む網膜疾患に繋がることが報告されている。
  • Ets2:炎症を含む種々の生体反応を制御する転写因子。
  • MicroRNA 155 (miR-155):MicroRNAは1本鎖の小分子RNAであり、mRNAからのタンパク質への翻訳を抑制する。MicroRNAの1つであるmiR-155は、炎症性サイトカインの発現を調節する。炎症反応を制御する上で重要な役割を果たす。
  • IL-1β:炎症誘発に関わる主要な炎症性サイトカインであり、活性化したマイクログリアから放出される。マイクログリアから放出されたIL-1βは炎症を誘発し、網膜を含む神経に障害を与えることが報告されている。