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女性の若い頃の香り「ラクトン」、女性の肌悩みの原因となる皮膚の炎症を抑制することを確認

研究開発

女性の若い頃の香り「ラクトン」は美肌効果も期待できる?! 女性の肌悩みの原因となる皮膚の炎症を抑制することを確認

2020年6月16日

ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:杉本雅史)は、若い女性特有の甘い香りの成分と言われている「ラクトン」の機能に着目し、研究を続けています。今回、ラクトンがヒト表皮角化細胞の増殖を促すこと、また紫外線照射による炎症性物質「インターロイキン-6(以下、IL-6)」を抑制することを確認しました。これらの成果によって、表皮のごわつき、くすみにつながる皮膚のターンオーバーを促進し、紫外線により誘発される表皮の炎症を抑制する効果が期待できます。なお、本研究成果は特許出願中です。

研究成果ポイント

  • ラクトンC10及びラクトンC11はヒト表皮角化細胞の増殖を促すことを確認
  • ラクトンC10は紫外線誘発した炎症性物質IL-6の産生を抑制することを確認

研究結果

ラクトンC10/C11はヒト表皮角化細胞の増殖を促進

試験方法:ヒト表皮角化細胞を用い、ラクトンC10及びラクトンC11含有の培地を添加し、3日後に細胞数を計測した。
Student’s t-test, *:p<0.05, n=3, mean ± SD
(ロート研究所実施)

ラクトンC10は紫外線により誘発された炎症性物質IL-6を抑制

ヒト表皮角化細胞を用い、ラクトンC10含有の培地をUVB照射24時間前と直後に添加した。UVB照射24時間後に培養上清を回収し,IL-6の量をELISA Kitにて測定した。
Tukey-Kramer test, ** p <0.01 ,n =6,mean ± SD.
(ロート研究所実施)

考察

ラクトンには、「①表皮細胞の増殖効果」と「②紫外線による炎症性物質IL-6の産生を抑制する効果」があることが明らかとなりました。
①表皮細胞の増殖効果:加齢をはじめとする様々な要因によって、角質層を構成する表皮角化細胞の増殖・分裂能が低下し、表皮のターンオーバーの遅延を引き起こします。その遅延は表皮の菲薄(ひはく)化や角質層の肥厚を招き3)、くすみにつながります4)。よって、ラクトンは表皮角化細胞の増殖によりターンオーバーを促すことが考えられ、くすみを改善することが期待できます。
②紫外線による炎症性物質IL-6の産生を抑制する効果:紫外線によって表皮から産生される炎症性物質IL-6は、種々の炎症を増悪するサイトカインとして知られています5)。ラクトンはIL-6を抑制することにより、表皮で起こる炎症の悪化を予防することが期待できます。

考察

参考文献
1)粧技誌第23巻 第1号 1989
2)生産研究, 59, 124-127 (2007)
3)J Gerontol. 1983 Mar;38(2):137-42.
4)日本化粧品工業連合会、粧工連技術資料、101、148 (1995)
5)Jpn. J. Clin. Immunol., 38 (6) 433~442 (2015)