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摩擦(シェアストレス)によって角膜上皮のムチンが減少!

摩擦(シェアストレス)によって角膜上皮のムチンが減少! -硫酸亜鉛水和物によるムチン減少抑制効果を確認- ~コンタクトレンズ装用が眼に及ぼす影響の研究~

2020年4月6日

ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:杉本雅史)は、コンタクトレンズが眼に及ぼす影響について研究を行いました。その結果、コンタクトレンズ装用による摩擦(シェアストレス)が、涙液安定性に重要な役割を果たす膜型ムチンを減少させることを確認しました(第41回日本生物分子学会年会にて発表)。さらに、膜型ムチンの減少に対し、硫酸亜鉛水和物はこれを抑制することを見出しました。本研究成果は、今後の点眼剤開発に応用していく予定です。

研究成果のポイント

  • シェアストレスは角膜上皮細胞の膜型ムチン(MUC1、16)の発現を減少させた。
  • 硫酸亜鉛水和物はシェアストレスによる膜型ムチン(MUC1、16)の減少を抑制した。
  • 硫酸亜鉛水和物はコンタクトレンズ装用による膜型ムチンの減少を抑制し、涙液安定性の向上に寄与することが示唆された。

研究の背景

近年、コンタクトレンズ装用による摩擦(シェアストレス)が眼に及ぼす影響が注目されており、角膜炎症および眼不快感を誘発することが報告されています。さらに、コンタクトレンズ装用者では、涙液安定性に重要な役割を果たす膜型ムチンが減少することが報告されています。しかし、シェアストレスが膜型ムチンに与える影響は明らかになっていません。そこで当社は、角膜上皮細胞を用いてシェアストレスが膜型ムチンに及ぼす影響を検討しました。

結果

角膜上皮細胞にシェアストレスを負荷することで、膜型ムチン(MUC1、16)の遺伝子発現が低下した

試験方法:ヒト角膜上皮細胞(HCE-T)に対し、培地で水流を起こすことでシェアストレスを誘発した。細胞を回収し、膜型ムチン(MUC1、16)の遺伝子発現量をリアルタイムPCR法にて測定した。
Student's t-test, *:p<0.05, ***:p<0.001, n=4, mean ± SD、ロート研究所実施

硫酸亜鉛水和物はシェアストレスによる膜型ムチンの減少を抑制した

試験方法:ヒト角膜上皮細胞(HCE-T)に対し、培地または0.001%硫酸亜鉛水和物を添加した培地を用いて水流を起こすことでシェアストレスを誘発した。細胞を回収し、膜型ムチン(MUC1、16)の遺伝子発現量をリアルタイムPCR法にて測定した。
Student's t-test, *:p<0.05, **:p<0.01, n=4, mean ± SD、ロート研究所実施

考察

シェアストレスは角膜上皮細胞の膜型ムチン(MUC1、16)の発現を減少させ、硫酸亜鉛水和物はこれを抑制することが明らかになりました。本結果より、コンタクトレンズ装用は膜型ムチンを減少させ、硫酸亜鉛水和物はこれを抑制することで、涙液安定性の向上に寄与することが示唆されました。

用語説明

膜型ムチン:角膜表面にある糖タンパクで、水を保持する機能があります。涙液層が角膜表面に安定的に広がるのに重要な役割を果たします。
シェアストレス:物体のある面を水平方向に滑らせるように作用する剪断応力です。本研究ではコンタクトレンズと角膜表面との摩擦をシェアストレスとして捉え、評価しています。