女性のニオイの曲がり角は35歳?!
女性の「若い頃のニオイ」を解明!
「若い頃の甘いニオイ」の正体は「ラクトンC10/ラクトンC11」
30代以降で「ラクトンC10/ラクトンC11」が減少し体臭が変わる
2018年2月14日
ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:吉野俊昭)は、加齢に伴う女性の体臭変化に関して研究を行い、女性には「若い頃特有の甘いニオイ」が存在し、それは年齢とともに減少し、曲り角は35歳付近にあること、その正体は「ラクトンC10/ラクトンC11」という成分であることを見出しました。また、「ラクトンC10/ラクトンC11」は30代以降の女性で減少すること、さらに見た目の印象に対して良い影響を与える可能性があることを示しました。本研究成果は、2017年9月に行われた日本味と匂学会第51回大会(神戸市)にて発表いたしました。引き続き加齢に伴う体臭変化に関する研究に取り組むと同時に、製品開発へ応用していきます。
研究の背景
当社はこれまでに、様々な体臭に関する研究を行い、新たな製品開発への応用を積極的に進めてきました。例えば、汗臭、腋臭、足臭、加齢臭を主な対象としてきました。近年、特に男性の加齢臭に対する研究を行い、「デオウ」などの製品開発へ応用してきましたが、女性に対してはアプローチできていませんでした。
そこで、当社で調査を実施したところ※、自分のニオイが気になる女性の約8割が加齢によるニオイ変化を感じていることが明らかとなりました。この結果を受け、今回は女性を対象とし、加齢に伴う体臭変化について検証いたしました。
※:2016年6月ロート調べ、自分のニオイを気にする20-60代女性(n=300)
研究成果
[結果1]35歳付近に曲がり角がある?!10~20代女性に特有の「SWEET(スウィート)臭(甘い香り)」は30代以降減少
10~50代の女性50名が約24時間着用した布を、専門パネラーにより6段階臭気強度表示法にて官能評価を実施した結果、10、20代と比較して30代以降で「SWEET臭」と呼ばれる香りが減少することが分かりました(図1)。
<試験方法>
10代~50代の女性50名に、無臭化処理されたTシャツ内部の背中上部に20cm×20cmの綿100%の布を縫い付けたものを入浴後から翌日入浴前までの約24時間着用させ、回収した。その後、回収したTシャツから取り外した布を専門パネラーにより6段階臭気強度法(スコア:0-5)にて評価した。臭いは、2-ノネナール臭、脂肪酸臭、アンモニア臭、硫黄臭、SWEET臭の5種類に対して実施した。
また、その「SWEET臭」に関して年齢と官能スコアの相関を調べた結果、16-35歳までは負の相関性を示した一方で、36-57歳では相関性を示しませんでした(図2)。以上より、10~20代女性特有に「SWEET臭」があり、35歳付近に「SWEET臭」の曲がり角があることが分かりました。
[結果2]「SWEET臭」の原因成分は「ラクトンC10/ラクトンC11」だった
10~20代女性に特有の「SWEET臭」の原因成分を同定したところ、その原因成分が「ラクトンC10(γ-デカラクトン)/ラクトンC11(γ-ウンデカラクトン)」であることが分かりました(図3)。
<試験方法>
「SWEET臭」の官能スコアの高いものと低いものをヘッドスペースガスクロマトグラフィー質量分析計(HS-GC/MS)で分析し、その原因成分を調べた。
[結果3]「ラクトンC10/ラクトンC11」は30代以降で激減
10~50代の各世代と体臭中の「ラクトンC10/ラクトンC11」濃度の関係性を調べた結果、30代以降で大きくその濃度が減少していることが明らかとなりました(図4)。これより、「ラクトンC10/ラクトンC11」は10~20代女性特有の体臭成分であることが分かりました。
<試験方法>
回収したTシャツから取り外したものをHS-GC/MSでラクトンC10とラクトンC11を定量した。
[結果4]「ラクトンC10/ラクトンC11」で女性の見た目印象をUP!
臭い強度を一定にした各種の香りを嗅ぎながら、「女性らしさ」「若々しさ」「魅力度」に対してアンケート調査を行ったところ、「ラクトンC10/ラクトンC11」を含む香料はそれらを全て上げる結果となりました(図5)。
<試験方法>
「無香料」及び、6段階臭気強度表示法の臭気強度2に揃えた「2-ノネナール」「石鹸香料」「『ラクトンC10/ラクトンC11』含有香料」を用意し、
それらの内1種類の香りを嗅ぎながら女性(実年齢平均40歳)の写真を見て、「女性らしさ」「若々しさ」「魅力度」に対するアンケート調査を実施した(n=52)。無香料を100%とした場合、印象がどう変化するかを割合(%)で示した。
考察
一般的な女性の多くが加齢に伴い、自分自身の体臭の変化を感じていることが知られていますが、その原因の一つとして若年女性特有の体臭成分に「SWEET臭」のある「ラクトンC10/ラクトンC11」が30代以降で減少することによって体臭変化が起こるものと推察されました。また、「ラクトンC10/ラクトンC11」の機能として、女性らしさ、若々しさ、魅力度を上げる効果があることも分かりました。今後、女性の加齢臭に対するアプローチとして、単純に洗浄によって落とすだけではなく、「ラクトンC10/ラクトンC11」の香りを付与することで、女性の加齢臭の悩みに対してより効果的なアプローチが可能であると考えます。
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