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高分子コンドロイチンは細胞保護効果が高いことを発見

―コンドロイチンのアイケア領域における新たな可能性― 高分子コンドロイチンは細胞保護効果が高いことを発見

2022年3月8日

ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:杉本雅史)は、Connect for Well-beingの実現に向けて、お客様のニーズに応えるための点眼薬の研究をすすめています。今回、研究拠点ロートリサーチビレッジ京都にてコンドロイチンに関する研究を進めた結果、従来のものと比較して高分子コンドロイチンが角膜上皮細胞に対する保護効果が高いことを明らかにしました。本研究内容は角膜カンファランス2022(2022年2月10日~12日、金沢市にて開催)で発表しました。

研究成果のポイント

  • 高分子コンドロイチンが従来型よりも角膜上皮細胞に対する保護効果が強いことを発見
  • 目の症状に応じてより適切なコンドロイチンを配合した点眼薬開発に期待

研究の背景

コンドロイチンは、製造法や原料により種々の分子量や構造が異なることが知られています。一方でこれらの違いが目に与える影響についてはほとんど明らかになっていません。
黒目の表面は角膜上皮で覆われており、外界から目を守るバリア機能や、涙を安定化させるムチンが重要です。これらの機能の低下はドライアイの病態に関連しているとされています。
今回の研究では、分子量の異なるコンドロイチンに着目し、まずドライアイモデルに対する効果を検証しました。さらに角膜上皮細胞株に対する薬理作用を評価し、その作用機序を検討しました。その結果、高分子コンドロイチンは従来型よりも角膜上皮に対する細胞保護効果が高いことを見出しました。
コンドロイチンは多くの点眼薬に配合されていますが、さらに研究を進めることで、症状や目的に合わせたコンドロイチンを選択して配合するなど、より良い製品開発への応用を目指します。

結果

高分子コンドロイチンは乾燥による角膜のダメージを保護する

ドライアイモデルに対するコンドロイチンの効果を検証しました。生理食塩水を点眼した群と比較して、コンドロイチンを点眼した群では角膜上皮障害が抑制され、その効果は高分子コンドロイチンにて特に強い傾向が認められました(図1)。この結果より、高分子コンドロイチンの方が乾燥による角膜上皮障害に対する保護効果が高いことが示唆されました。

図1:角膜上皮障害に対するコンドロイチンの効果

<試験方法>
ドライアイモデルに被験物質を単回点眼し、角膜上皮障害の程度を評価した。(ロート製薬研究所実施)

高分子コンドロイチンは細胞の接着性を高め、角膜のバリア機能を保護・回復する

角膜上皮バリアに対する効果を2種類の実験で評価しました。その結果、炎症(TNF添加)によるバリア機能低下に対し、高分子コンドロイチンは保護・回復することがわかりました。
さらに、バリア機能に重要な細胞接着因子(OCLN)を評価した結果、高分子コンドロイチンは炎症による細胞接着因子(OCLN)の低下を防ぐことがわかりました(図2)。
以上の結果から、高分子コンドロイチンは、細胞接着因子の発現を促進・維持することで、バリア機能を保護・回復することが示唆されました。

図2:角膜上皮バリアに対するコンドロイチンの効果

<試験方法>
ヒト角膜上皮細胞株に炎症を誘発するためのTNFと被験物質を添加し、48時間後に経上皮電気抵抗(TEER)を測定することでバリア機能を評価した。また48時間後の細胞接着因子(OCLN)発現を免疫染色(赤色)で検出した。細胞核は青色で染色した。(ロート製薬研究所実施)

高分子コンドロイチンは角膜のムチンを増やす

さらに、涙液の安定性に寄与する膜型ムチン(MUC16)を評価したところ、炎症によって膜型ムチン(MUC16)の発現が低下するのに対して、高分子コンドロイチンはその発現を促進・維持することがわかりました(図3)。

図3:角膜上皮細胞のムチン発現に対するコンドロイチンの効果

<試験方法>
ヒト角膜上皮細胞株にTNFと被験物質を添加し、48時間後の膜型ムチン(MUC16)発現を免疫染色(緑色)で検出した。また細胞核は青色で染色した。(ロート製薬研究所実施)

今後の展望

本研究成果により、高分子コンドロイチンは従来型コンドロイチンよりも角膜上皮において優れた細胞保護効果を示すことを見出しました。同時に分子量の異なるコンドロイチンは、バリア機能やムチン産生など、様々な作用を示すこともわかりました。今後もコンドロイチンの研究を継続し、アイケア領域での新たな価値を提案できるように努めていきます。