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「皮膚細菌叢」を起点にした共同研究講座開設のお知らせ

研究開発

先端の皮膚科学研究を追究するために 「皮膚細菌叢」を起点にした共同研究講座開設のお知らせ

2023年6月16日

ロート製薬株式会社(本社:大阪府大阪市、社長:杉本雅史)は、大阪大学大学院医学系研究科皮膚科学教室(藤本学教授)と共に、皮膚細菌叢の皮膚免疫に与える影響の解明に向けて、共同研究契約と共に皮膚免疫微生物学共同研究講座※1を開設いたしましたのでお知らせします。本共同研究講座では、「皮膚細菌叢」を起点とし、未病段階の細菌叢を制御することで健康な皮膚へ導くこと、また皮膚疾患に対して細菌叢を解析することで新たなメカニズムを明らかにすることを目的としています。先端の皮膚科学研究を追究し、ウェルビーイングな社会の実現を目指していきます。

研究の背景と狙い

皮膚はヒト最大の臓器であり、外界と区別し様々な刺激から身を守っています。皮膚には様々な常在微生物が存在し、ヒトの健康に影響を与えていると言われています。特に、尋常性ざ瘡、アトピー皮膚炎、乾癬などにおいては、正常細菌叢が乱れるDysbiosis※2が皮膚で起こっていることが知られています。しかし、皮膚微生物がどのようにヒトの健康や疾患に影響を与えているのかは不明な点が多く、その解明により、皮膚疾患の新たな治療法・予防法の開発につながることが期待されます。

現在、当共同研究講座では、尋常性ざ瘡(ニキビ)の発症メカニズムについての研究を進めています。ニキビはアクネ菌の増殖が、主な発症原因の一つとして知られていますが、詳しいメカニズムについては不明な点が多いのが現状です。最近、アクネ菌には“悪玉菌”と“善玉菌”が存在することが報告されました。本研究室ではアクネ菌数百株の単離に成功しており、様々な解析手法を駆使し、ニキビに対する善玉もしくは悪玉作用をもつアクネ菌の同定を進めています。
今後も皮膚疾患研究や加齢皮膚研究を通じて、健康な皮膚であり続けるメカニズムの解明を目指して研究を進めてまいります。

註釈

※1:皮膚免疫微生物学共同研究講座

※2:Dysbiosis(ディスバイオシス):体内または体外(皮膚など)の微生物集団のバランスが崩れた状態のことを指します。炎症性皮膚疾患や炎症性腸疾患などの多くの病気に関連しています。