ロートグループ独自素材「グロビン蛋白分解物(メタップ®)」に
飲酒する方、中性脂肪が高めの方の「肝臓保護効果」があることを確認
2024年11月8日
ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:杉本雅史)は、ロートグループ経営総合ビジョン「Connect for Well-being」の実現に向けて、機能性食品の研究を進めています。今回、ロートグループであるエムジーファーマ株式会社(本社:茨木市、社長:墨田康男、以下「エムジーファーマ」)の独自素材であるグロビン蛋白分解物(メタップ®)の研究を進めた結果、臨床試験において新たに中性脂肪が高めの方、飲酒する方の肝臓保護効果があることを確認しました。本研究成果は、「診療と新薬(2024年9月28日付)」に掲載されました。
研究成果のポイント
健常域で肝機能マーカーがやや高めの男女を対象に、グロビン蛋白分解物を含有した食品またはグロビン蛋白分解物を含有していない食品のどちらかを8週間摂取してもらい、グロビン蛋白分解物が肝機能マーカーに及ぼす影響を評価したところ、下記の研究成果を得ました。今後、グロビン蛋白分解物による肝臓保護効果を有する機能性食品の開発に活用してまいります。
- グロビン蛋白分解物は、中性脂肪が高めの健康成人男女において、やや高めの肝機能マーカー(ALT、AST)を低下させ、肝臓保護効果があることを発見しました。
- グロビン蛋白分解物は、飲酒することのある健康成人男女において、やや高めの肝機能マーカー(ALT)を低下させ、肝臓保護効果があることを発見しました。
研究の背景
肝臓は人体で最も大きい臓器であり、体内の恒常性を保つために必要不可欠な働きを担っています。肝機能が低下すると、糖代謝、脂質代謝、蛋白合成能の低下を伴った栄養状態の悪化に加えて、解毒や排泄といった重要な生体機能にも影響が及びます。そのため、正常な肝機能を維持することはヒトの健康維持・増進において極めて重要です。
ところが、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、肝臓に負荷がかかっていても自覚症状がないことが多く、肝臓への負荷を放置した場合、深刻な肝疾患へと進行するリスクが高まります。そのため、肝機能マーカーを基準範囲内に保ち、正常な肝機能を維持することが重要とされています。
グロビン蛋白分解物はグロビン蛋白のプロテアーゼ分解物からなる機能性食品素材であり、食後の血清中性脂肪の上昇を抑える機能性表示食品や特定保健用食品としての販売実績があります。さらに、ロート製薬とエムジーファーマは、肝障害に対するグロビン蛋白分解物の効果に着目して研究を進めてきました。先行研究の結果、グロビン蛋白分解物の摂取によって、肝臓の脂肪蓄積減少効果やALT値の上昇抑制効果が認められていました。
今回、健常な成人男女を対象に、グロビン蛋白分解物を配合した食品を8週間摂取した場合の肝機能マーカーに及ぼす影響を確認すべく臨床試験を実施しました。
結果
健常域でやや高めの肝機能マーカー(ALT)を持つ方を対象とし、グロビン蛋白分解物を含有した食品を摂取する群と、グロビン蛋白分解物を含有していない食品を摂取する群に分け、どちらかを8週間摂取した場合の、肝機能マーカーに及ぼす影響を評価しました。
被験者背景に基づいた詳細な解析を行った結果、血中中性脂肪が高めの方において、グロビン蛋白分解物を含有した食品を摂取した群では、8週間摂取後のALT値およびAST値の低下が確認されました。また、試験期間中にアルコールを摂取した方(飲酒する方)において、グロビン蛋白分解物を含有した食品を摂取した群では、8週間摂取後のALT値の低下が確認されました。
図1:血中中性脂肪が正常高値またはやや高めの方を対象としたALTの経時変化
図2:血中中性脂肪が正常高値またはやや高めの方を対象としたASTの経時変化
図3:試験期間中にアルコールを摂取した方を対象としたALTの経時変化
<試験方法>
健常域でやや高めの肝機能マーカー(ALT)を持つ方82名を対象とし、プラセボを対照とした無作為化二重盲検並行群間比較試験(ランダムに2グループに分け、片方のグループはグロビン蛋白分解物を含有した食品、もう片方のグループはグロビン蛋白分解物を含有していない食品を8週間継続摂取)を実施した。評価項目は肝機能マーカー(ALT)を主要評価項目とし、副次評価項目として、肝機能マーカー(AST、γ-GT)、疲労感、睡眠・心身状態、中性脂肪、総コレステロール、HDL-コレステロール、LDL-コレステロール、グルコース(空腹時血糖)、HbA1c(NGSP)を設定した。
血中中性脂肪が正常高値またはやや高めの方々(プラセボ群:17名、グロビン蛋白分解物群:11名)を対象としたALTおよびASTの経時変化を図1、2に、試験期間中にアルコールを摂取した方々(プラセボ群:25名、グロビン蛋白分解物群:20名)を対象としたALTの経時変化を図3に示した。
(平均値、*p<0.05、**p<0.01、t検定: v.s.プラセボ)
本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)
本研究成果により、ロートグループの独自素材であるグロビン蛋白分解物(メタップ®)が肝臓保護効果を示すことが臨床試験にて明らかになりました。正常な肝機能を維持し、肝機能の低下を予防・改善することは、生体機能の維持において重要な役割を持ち、ウェルビーイングの実現に向けた健康寿命の延伸という社会目標の達成の一助となるものと考えています。今後、臨床試験の結果を踏まえ、機能性食品の開発を進め、一日でも早くお客様に製品をお届けできるよう努めてまいります。
- 「メタップ」はエムジーファーマ株式会社の登録商標です。
用語説明
ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)
肝臓の状態を示す血液検査値です。ALTは主に肝臓内に多く存在する酵素であり、何らかの異常によって肝細胞が破壊されることで血液中に漏れ出し値が高くなります。
AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)
肝臓の状態を示す血液検査値です。ASTは肝臓をはじめとする多くの組織に存在する酵素であり、何らかの異常によって肝細胞が破壊されることで血液中に漏れ出し値が高くなります。肝疾患だけではなく、心筋梗塞や筋疾患等でも値が高くなるため、他の肝機能マーカーと併せて診断に使用されます。