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Sonic hedgehog
シグナル伝達経路活性素材の睫毛への影響

2017年3月27日:第137回 日本薬学会

【目的】Sonic hedgehog(以下、Shh)は毛周期の休止期から成長期への移行し、発毛に関与するシグナルである。また、Shh欠損マウスの皮膚では、毛包形成不全により毛が生えない表現型を呈したことから、Shhは毛包の増殖やサイズを制御することが知られている。そこで本研究では、Shhをターゲットとした育毛成分の有用性について紹介する。

【方法】Gli応答配列が組み込まれたNIH3T3細胞を用いて、Shhシグナル伝達経路の活性化によって誘導されるGli応答配列の発現量を定量化し、素材のスクリーニングを行った。また、スクリーニングで見つかった成分についてReal-time定量PCR法により育毛関連のmRNAとタンパク質の発現量を測定した。

【結果および考察】186種の成分からスクリーニングをおこなったところ、数種類の成分にGli-luc活性に応答が認められた。特に顕著な効果を示した成分について、更に検討を行った。その結果、Gliの遺伝子発現レベルは上昇していることが確認できた。さらに、Gliの上流にあるShhの産生量を増加する傾向が認められた。以上、今回見つかった成分はShhシグナル伝達経路の活性化により毛の伸長を促す成分になりうると考えられる。現在、本成分を含有した製剤を用い、ヒトのまつ毛に対する影響について検討をしている。