メンソレータム®「メルティクリームリップ」
“やみつき”の秘密をデータで探る
-また使いたくなる使い心地とは-
2024年11月14日
ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:杉本雅史)は、徹底したお客様起点の考え方に基づいた研究開発を行い、製品を長く愛用していただけるように感性評価研究をすすめています。今回、とろけるような塗り心地と高保湿が特長のメルティクリームリップ※1(以下、メルティリップ)愛用者に対して脳波・心拍を用いた感性評価を行い、やみつきの秘密はその使い心地にある可能性が示されました。脳波・心拍などの生理指標はお客様の潜在的な感性をひも解く指標となり、製品だけではなくお客様を理解することができます。本研究は、お客様の満足度に直結する「使い心地」をより深堀り・向上させていくための重要な発見となりました。
※1:メルティクリームリップ(販売名:メンソレータムリップYN)
“やみつき”になるリップクリームの開発
メルティリップの開発がスタートした約10年前、販売されている保湿リップは硬い使い心地の製品がほとんどでした。「スティックなのに柔らかい、とろけるようなリップだったらクセになって、やみつきになるかも…!?」と研究員は考え、処方開発に着手しました。従来の油分で膜をつくって蓋をするような保湿ではなく、水を抱えて唇のうるおいを保つ「モイストバンク技術」を開発し、塗り広げるとクリーム状になるような特徴のある処方が完成しました。「特徴のないものはクセにならない。思わず何度も使ってしまうような、クセになる使い心地をつくりたかった。」と研究員は振り返ります。リップケア製品市場はうるおいを与えるだけではなく、様々な色味や香り、可愛らしい容器デザインなどで毎年たくさんの新製品が発売されています。その中でお客様の手に取ってもらい、心を離さない製品をつくりたいという研究員の強い思いからメルティリップは誕生しました。
2017年の発売後、シリーズ累計2000万本以上※2を販売しており、多くのお客様に支持をいただいております。「このとろける使い心地がやみつき!」「他の商品も気になって買うけど、結局私の定番はメルティリップ」などのお声もいただくようになりました。嬉しいお声を次々いただくうちに、「メルティリップは心もとろけさせているのでは…?メルティリップを塗っているときの気持ちを解明してみたい。」という思いが芽生え、ヒトの潜在的な感性を評価できる生理指標の測定に着手しました。
※2:インテージSRI-POS 2017年7月~2024年10月 メルティクリームリップシリーズ累計販売個数
メルティリップを塗ると心が満たされる?!
当社の先行研究※3において、脳波、心拍、脳血流などの生理指標を測定することで、お客様が潜在的に感じている製品の使い心地に対する「好み」を評価できる可能性を見出してきました。今回、メルティリップを普段愛用されている方が、メルティリップまたは使い心地が異なる対照品を唇に塗布している最中の脳波および心拍を測定しました。その結果、メルティリップ愛用者がメルティリップを塗ると脳波(β波)は低下し、使い心地が異なる対照品を塗ると上昇傾向を示しました(図1A)。一方、心拍のうち、副交感神経の状態を示すHFはどちらも上昇傾向を示しました(図1B)。
図1 A:脳波(β波)の変化量 および B:心拍(HF)の変化量
<試験方法>
普段メルティリップを使用している20歳~49歳女性28名に対し、事前に3日間、対照品に置き換えて使用してもらった。その4日目にメルティリップまたは対照品*の塗布時における脳波および心拍を測定した。図1は、塗布開始後30秒後からの30秒平均と、塗布前の1分間の安静時平均との差分を変化量として算出した。有意差検定は、対応のないt検定にて実施した。
*:メルティリップと保湿力は同等だが使い心地が異なり単一の成分のみで構成された製剤
この生理指標の結果を、感情表現モデルの1つであるラッセルの円環モデルに当てはめると、メルティリップを塗布すると「満足」「充足」傾向に、対照品を塗布すると「興奮」傾向を示すことが示唆されました(図2)。この結果から、メルティリップはそのとろける使い心地にこだわった処方により、心が満たされるような感性をもたらしている可能性が示唆されました。
図2 生理指標の測定結果をプロットしたラッセルの円環モデル(イメージ図)
※3:お客様が感じる「好き」を数値で解き明かす
心地よさも感じられるメルティリップ
さらに、それぞれのリップクリームを塗布している最中の気持ちについて文章で自由に記述してもらった内容を、対応分析という手法で解析を行いました。その結果、対照品を塗布している最終の気持ちについてはあまり特徴的な言葉が見られず、普段愛用しているメルティリップを塗布しているときには「心地よい」「満足」「潤う」といった言葉が特徴として表れました(図3)。これは生理指標の結果と類似しており、さらには「心地よさ」も感じられている可能性も示唆されました。
図3 塗布中の気持ちに関する記述の対応分析結果
四角で囲んだ製品名に近い言葉が、その製品に関する特徴的な記述と考えられる
<試験方法>
脳波および心拍測定時における、各リップクリーム塗布中の気持ちについて、自由記述にてアンケート聴取を行った。その内容をKH Coderにて対応分析を行った。各リップクリームの近辺にある語が、そのリップクリーム塗布群で特徴的に出現した語と判断した。(ロート製薬研究所で実施)
やみつきの理由は、塗るたびに心が満たされるから?
今回、メルティリップ愛用者の方にはメルティリップと対照品のリップクリームを使用していただき、この2つを比較すると、メルティリップを使用している時には対照品に比べて満足感・充足感が潜在的にもたらされている結果となりました。メルティリップは複数の成分を厳選して研究員がとろける使い心地にこだわってつくりあげた処方です。だからこそ、心地よさや満足感がもたらされたと考えることができます。メルティリップを塗るたびに感じる、とろける使い心地と心が満たされるような感覚。これによって、お客様に“やみつき”になってご愛用いただいているのかもしれません。
今後の展望
今回の感性評価試験により、メルティリップを愛用くださるお客様の“やみつき”の秘密の一部を明らかにすることができました。この試験内容については、2024年9月に行われた第26回日本感性工学会大会にて発表いたしました。今後も、お客様に愛される製品づくりのため、市場で際立つような“クセになる”処方開発と、長くご愛用いただけるような“やみつき”になる秘密の研究を進めていく予定です。今回の手法だけにとどまらず、お客様自身が気付かないような潜在的に感じている使い心地の研究を深め、お客様一人ひとりの「ハート」にしっかり届く製品を、これからも提案し続けてまいります。
- 「メンソレータム」はザ・メンソレータム・カンパニーの登録商標です。