女性のニオイ悩みに新知見
香り成分「プレラクトン®」の不快臭低減効果
―不快なニオイを抑え、若い頃の甘い香り「ラクトン※1」へ変化する―
2025年10月7日
ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:瀬木英俊)は、ロートグループ 総合経営ビジョン 2030である「Connect for Well being」の実現に向け、若い女性特有の香り成分である「ラクトン」の研究を進めています。今回、ラクトンの前駆体である4-ヒドロキシウンデカン酸ナトリウム(以下、プレラクトン)が、甘い香り成分「ラクトン」に変化する際に酸っぱい・ツンとした「不快臭」の一部を低減する働きを持つことを明らかにしました。本研究は日本味と匂学会第59回大会(2025年9月8~10日大阪府豊中市にて開催)で発表しました。
※1:女性の体臭に含まれ年齢と共に減少する甘い香りの成分、γ-ウンデカラクトンのこと
研究成果のポイント
- 香り成分ラクトン前駆体である「プレラクトン」に新しい機能性を発見
- プレラクトンはニオイ悩みにつながる酸っぱい・ツンとした「不快臭」の一部を低減させると同時に甘い香りへ変換される
- デオドラントなど体臭対策製品への応用に期待
結果
結果1:悪臭成分の酸にプレラクトンを添加すると各酸の量が減少することを発見
不快な皮脂や汗のニオイに起因する4種の酸(酢酸、イソ吉草酸、イソ酪酸、4-メチル-3-ヘキセン酸)を悪臭成分として選定し、プレラクトンを添加したところ、コントロール(水)を添加したものと比較して、各酸の濃度が低下することが確認されました。(図2)
図2:悪臭成分の酸にプレラクトンを加えたときの酸濃度
<試験方法>
バイアル瓶に入れた各酸50ppm溶液に0.2%プレラクトン溶液及び水をそれぞれ添加し、気相中の各酸の量をGC/MSによって測定した。(n=3)(Control vs プレラクトン:p<0.01(イソ吉草酸・イソ酪酸・4-メチル-3-ヘキセン酸)
(ロート製薬研究所で実施)
結果2:悪臭成分の酸にプレラクトンを添加するとラクトンが発生することを確認
悪臭成分の酸の混合物(酢酸、イソ吉草酸、イソ酪酸、4-メチル-3-ヘキセン酸)にプレラクトンを添加したところ、コントロール(水)を添加したものと比較して、ラクトンの量が優位に増加することが確認されました。(図3)
図3:悪臭成分の酸にプレラクトンを加えたときのラクトン量
<試験方法>
各酸50ppm溶液及び水に0.2%プレラクトン溶液をそれぞれ添加し、気相中のγ-ウンデカラクトンの量をGC/MSによって測定した。(n=3)(Control vs 悪臭成分+プレラクトン:p<0.01)
(ロート製薬研究所で実施)
結果3:プレラクトンによって悪臭成分の不快度が減少することを官能評価にて確認
綿球に悪臭成分の酸を添加したものと悪臭成分+プレラクトンの混合物を添加したものを用いて9段階快・不快度表示法を行ったところ、悪臭成分とプレラクトンの混合物では優位に不快度が減少することが確認されました。(図4)
図4:9段階快・不快度表示法による官能評価の結果
<試験方法>
プラ容器に入れた綿球に各酸50ppm水溶液・各酸50ppm水溶液+10%プレラクトン水溶液それぞれを添加したものを作製し、男女14名で9段階快・不快度表示法による官能評価を行った。(n=14)(*:p<0.01)
(ロート製薬研究所で実施)
考察および今後の展望
本研究により、プレラクトンは人の肌の上で女性の体臭に含まれる甘い香りのラクトンに変化するだけではなく、酢酸、イソ吉草酸、イソ酪酸、4-メチル-3-ヘキセン酸といった悪臭成分の酸を減少させることでニオイ悩みにつながる酸っぱい・ツンとした不快臭の一部を低減すると考えられます。これにより、制汗や殺菌作用のようなニオイの元を抑制する方法や、香料のマスキング効果で不快なニオイを快適な香りに変える方法に加えて、不快臭を低減させながらラクトンを補うという、新たなニオイ悩みに対するアプローチの可能性が示唆されました。
今後もラクトンの新しい機能の探求を続け、新しい価値の提案を行って参ります。さらに、従来の発生したニオイに対するアプローチだけではなくニオイが気にならない体づくりなど、既存の枠を超えて新しい技術を提供できるよう、お客様の悩みを根本的に解決するための研究開発を続けてまいります。
- 「プレラクトン」はロート製薬株式会社の登録商標です。