Open

気候変動への対応

ロートグループでは、地球温暖化防止と自然環境との調和を、事業成長と持続可能な社会の実現の両立を図るために重要な経営課題の一つとして認識しています。日本政府の目標とする2050年ネットゼロやパリ協定での合意事項を支持し、また2021年6月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明しました。
今後は、TCFDの提言に基づき、気候変動が事業に及ぼす「リスク」と「機会」について、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの視点からステークホルダーへの情報開示を進め、グループ全体での気候変動の対応に積極的に取り組んでいきます。

ガバナンス

当社は2021年9月にサステナビリティ委員会を設置し、気候変動に関するリスクと機会について協議し、取り組み方針の決定を行い、その方針をグループに展開する体制をとっています。取締役会は、その検討・協議内容について報告を受け、当社グループの気候変動対応について、ステークホルダーへの開示および対話、長期視点での資本支出計画など検討を行い、また実行に際して監督を行う体制としています。
サステナビリティ委員会は、2名の取締役ならびにアドバイザーとして1名の社外監査役によって構成し、委員長は取締役副社長が務めています。取締役副社長は当社グループのチーフファイナンシャルオフィサー(CFO)の役職も兼ねており、環境課題を財務課題として評価・管理する役割を担っています。

戦略

当社の気候変動に関するリスク及び機会が事業に及ぼす影響を主に財務面でのインパクトを中心に評価いたしました。当社は主要な展開国においては現地に開発・生産拠点を保有し、気候変動に伴うバリューチェーンの分断に強い体制を築いております。シナリオ分析では、主要なグローバル拠点である日本、中国、ベトナム、米国等を総合し、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数のシナリオ等を参照のうえ、1.5℃/2℃シナリオと4℃シナリオのそれぞれについて影響を検討しました。
TCFDの定義する分類(移行リスク、物理的リスク、機会)に基づき、気候変動が事業に及ぼす可能性のある影響度及び現時点での対応を検討しました。今後も継続的に分析と評価を進め、多様なシナリオにおいての対策検討を実施するとともに、不確実な将来に向けてのレジリエンスを高めてまいります。

想定されるシナリオ

1.5℃/2℃シナリオ 世界的な脱炭素への要求の高まりにより、炭素税導入やプラスチックをはじめとする化石燃料由来原料に対する規制が強化され、脱炭素な過程で生産された原材料や容器包材の仕入、再生エネルギーの使用など、更なる環境配慮を前提とする企業活動への転換が進む
消費者や小売業者の志向変化により、低カーボンな製造方法により生産された製品や持続性に配慮した調達品の取引や販売が求められる。またその技術革新が進む
4℃シナリオ 異常気象による台風などの自然災害の激甚化に伴い、想定以上の風水害被害の発生リスクが高まる
自然災害の激甚化や気温上昇に伴う環境や生態系の変化により、資源の生産や収穫量の減少リスクが高まることで、原材料の枯渇リスクや感染症の発生リスクが高まる
紫外線増加や、気温変化により、QOLが悪化することでQOLニーズを満たすヘルスケア製品に対する要望が高まる
※表の右端が切れて表示される場合は横スクロールしてご確認ください。

脱炭素社会への移行リスクと機会、その対応

リスク項目 事業インパクト 影響度 リスク・機会への対応
大分類 小分類 1.5℃ / 2℃ 4℃
政策/規制 炭素税の導入 世界各国における炭素税の導入により、工場の操業コストや輸送コストの増加(リスク) ・スコープ1、2の排出量削減目標を掲げ、削減活動を推進中
CO2排出量の制限規制の導入(プラスチックや石油由来原料の使用規制や課税など) 再生原材料の使用の規制や義務化等により調達コストの上昇(リスク) ・プラスチック使用量の削減や循環型素材の使用率増加
・容器・包材の簡素化、軽量化
・再生原料を使用した容器等への変更
再生エネルギーの使用義務化や使用量増加 再生可能エネルギーへの切替えなどに係る電力代上昇に伴うエネルギー調達コストの上昇(リスク) ・エネルギー使用量の削減目標を掲げ、削減を推進
・再生可能エネルギーへの使用切替や環境配慮型設備への投資を推進
市場 原材料価格の上昇 原材料価格の上昇 ・分散調達、代替原材料の検討とその品質への影響評価
※表の右端が切れて表示される場合は横スクロールしてご確認ください。

物理的リスクと機会、その対応

リスク項目 事業インパクト 影響度 リスク・機会への対応
大分類 小分類 1.5℃ / 2℃ 4℃
慢性 平均気温上昇 天然原材料の供給不足などの影響で調達コストが上昇(リスク) ・分散調達、代替原材料の検討とその品質への影響評価
日やけ止め、シミ対策商品など紫外線対策関連ニーズの拡大。また年間における最需要期の長期化による売上拡大(機会) ・日やけ止めにおける技術開発の推進
・化粧品、内服を含めた対策商品の開発検討
海面の上昇 調達先を含めた低海抜拠点の工場やオフィスが浸水し、操業停止などの甚大な影響が出る(リスク) ・現時点で当社グループ内拠点における影響はないと考えられる
・取引先の状況把握に努める
水使用の逼迫 地下水を利用した生産地域における地下水の枯渇により、水の使用が困難になった場合、取水排水制限の導入や調達コストの増加による商品の生産制限やコストの増加(リスク) ・水使用量に関する定量的な把握を進める
・水資源の効率的な使用を推進
急性 自然災害による生産機能停止や物流機能の断絶 サプライチェーンの寸断による調達および供給が停止し、販売機会の損失により収益が減少(リスク) ・BCPの見直し・分散調達の推進ならびに在庫水準の適正化
・サプライヤーおよび販売代理店との緊密な連携
市場 消費者ニーズ・行動の変化 環境に配慮した製品のニーズ拡大に伴う売上拡大と、企業の環境配慮に対する市場からの評価向上(機会) ・環境、生態系への影響に配慮した製品の開発
・外部評価機関と連携した環境影響の評価指標の開発
※表の右端が切れて表示される場合は横スクロールしてご確認ください。

リスク管理

① 気候関連リスクの識別・評価プロセス

TCFDが提唱するフレームワークに則り、外部環境の変化を予測し、当社のリソース及び提供サービスを踏まえて、気候変動が事業に与えるリスクについてその影響度をサステナビリティ委員会において識別しています。

② 気候関連リスクを管理するプロセス

識別したリスクはサステナビリティ委員会において管理し、対応について協議を行います。必要に応じて関連部門の責任者を委員会に招集し、より具体的な施策を確認、機動的に推進する体制を取っています。

③ 上記プロセスが当社総合的リスク管理に統合される体制

環境課題以外のリスクも含めて総合的に当社事業の継続性に影響を与えるものについてもサステナビリティ委員会において評価・管理します。案件に応じて代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス委員会とも協議を行い、BCPを策定します。

指標と目標

当社では、2030年に向けたScope1・2のCO2排出量削減目標を2013年度比-46%とし、そのためのアクションを進めています。2023年度のCO2排出量は、Scope1・2合計で12,722t(2013年度比で-19.6%)となっています。また、2023年度よりScope1・2については、当社に加え主要な生産拠点を持つ国内子会社の排出量の算定にも取り組みました。今後もグループ全体で削減を目指していきます。

低炭素社会