1899年、ロート製薬は胃腸薬「胃活®」の製造販売からスタートしました。「人の元気は胃腸に宿る」と、日本人を元気にしたい一心で胃腸薬を開発。その想いと歴史は脈々と受け継がれ、現在では「パンシロン®」シリーズをOTC医薬品として販売しています。さらに現代人特有の症状に対してわかりやすい漢方薬シリーズを発売するなど、社会変化に伴う人々の悩みに寄り添った製品を開発してきました。
私たちはお客様の悩みにこたえるため、その悩みそのものだけでなく、なぜその症状が起こっているのか、ホメオスタシスに注目して製品開発しています。
また、“食”は人間の健康維持に必要な栄養素を摂取するために、最も基本となる人間の営みです。人間の体の源となる“食”は病気になる前の「未病」段階から、薬に頼らない体を作ることに貢献します。私たちは食品においても、根本ケアの視点を念頭に置いて開発を行っています。
食品分野では、お子様や女性に必要な栄養素や眼や肌のインナーケアにも着目。その他、レストラン事業、農業・畜産など、一般食品の事業化も進めており、今後も分野、機能を限定することなく、健康長寿の先にある喜びをお客様に届けるべく、研究開発、事業開発を推進していきます。
研究事例紹介
効果の追求
生薬の作用機序研究
薬液直接接種試験におけるシンイエキスの抗菌作用
気圧低下による脳血流量の変化
漢方は複数の生薬の組み合わせにより効果を発揮すると古くから言われています。しかし多くの生薬や漢方薬はそのメカニズムが科学的に解明されていません。
私たちは、モクレン科の植物の蕾である生薬のシンイから抽出したエキスに、副鼻腔炎の原因菌に対する抗菌作用を見出しました。この知見を応用し、シンイエキスと抗アレルギー成分を組み合わせた鼻炎内服製剤を開発しました。
一方、古くから雨天時の頭痛薬として五苓散(ソウジュツ配合)が知られていました。この作用のメカニズムは解明されていませんでしたが、私たちは天気頭痛の原因である脳血流量に着目し、熊本大学と共同研究を行いました。
その結果五苓散は、気圧低下時の脳血流量の増加を抑制する作用があることを見出しました。同時に試験した鎮痛成分であるロキソプロフェンでは気圧が低下した状態から通常気圧に戻したときに、元の脳血流量に戻りにくいのに対し、五苓散は素早く元の血流量に戻ることが分かり、天気頭痛に有用な処方であることを確認しました。
私たちは生薬や漢方のメカニズム研究に取り組んでいます。
食品の消化管吸収に着目した研究
コンドロイチン硫酸の分子量による吸収量の変化
食品では摂取した成分が消化管から吸収されて、局所に届くことで機能します。よって、いかに吸収されるかが重要な課題です。
コンドロイチン硫酸は、生体内で関節軟骨、皮膚、血管といった多くの組織に存在し、非常に優れた保水性を発揮しています。しかしながら、コンドロイチン硫酸を摂取しても吸収されにくいという課題がありました。
そこで、低分子コンドロイチン硫酸を開発しました。低分子コンドロイチン硫酸の吸収量は、高分子のものよりも14.5倍高いことを、反転腸管試験による腸管吸収性試験にて明らかにしました。
また、日本人は全年齢でカルシウム摂取が不足しており、子供の成長だけでなく高齢者の健康なカラダづくりにおいても重要なミネラルです。しかし、カルシウムは消化吸収されにくい栄養素でもあるため、いかに吸収性を上げるかが課題でもありました。
牛乳のタンパク質から研究開発したペプチドであるオリゴミル®が、カルシウムの小腸での透過性を高めることを、反転腸管試験にて明らかにしました。
私たちは、今後も食品成分の吸収を最大限にする研究を今後も行い、生体利用率を踏まえた製品の開発を行っていきます。
飲み心地の追求/製剤技術
胃腸薬のチュアブルと小型粒の話
胃腸薬の飲み心地を追求して生まれた商品たち
内服薬は、薬の有効性だけでなく、服用しやすさ、飲み心地も重要な要素です。
かつて胃腸薬は顆粒や錠剤が主流で、水で服用するのが当たり前でした。しかし、外出時など、急な胸やけ・胃痛の際、いつでも水で服用できる環境であるとは限りません。
そこで、水なしで服用できるチュアブルタイプの胃腸薬をOTC医薬品市場で初めて開発しました(「パンシロンクールNOW」(第2類医薬品))。
通常の胃腸薬は、口の中で溶かして飲むと粉っぽさや特有の味が口に残りやすいのです。しかし成分の組み合わせを工夫することで、水なしで服用できる味と飲み心地の良い胃腸薬を実現しました。
更に近年飲み心地の追求を継続しています。胃腸薬の剤形の主流は錠剤や顆粒剤ですが、錠剤は粒が大きくて飲み込みにくい、顆粒剤は粉が口に広がり飲み込みにくく、独特の味を感じやすいというお客様のお声もいただいております。
そこで両者の利点を兼ね備えた、“小型粒”という新たな技術を生み出しました(「パンシロン®アクティブ55®ST」(第3類医薬品)。
これは錠剤に似た顆粒で、喉につかえず小さな粒でスッキリと飲みやすいものです。
このようにロート製薬では、服用しやすさ、飲み心地を追求して、内服薬開発を行っています。
健康長寿を目指したアプローチ
長寿村(大宜味村)のシークヮーサーに含まれるノビレチンに着目した研究
健康果実シークヮーサー/ノビレチンの神経突起伸長効果
沖縄県大宜味村にあるグループ会社「ケレス沖縄」では、シークヮーサーやパイナップルといった沖縄特産の果実の搾汁を行っています。
沖縄県は認知症の有病率が低いことが知られており、大宜味村は長寿の村と言われています。大宜味村の特産品であるシークヮーサーに秘密があるのではないかと成分の研究を始めました。
その結果、シークヮーサーに含まれるノビレチンという成分に認知機能を改善する働きがあることが分かりました。さらに自社での研究では、ノビレチンとDHAの組み合わせで、神経細胞を活性化する相乗効果があることも分かりました。
今後も一人ひとりが健康で活き活きと暮らせる時間がより長くなるようサポートすべく研究を進めていきます。
女性の健康管理
現代女性の栄養不足へアプローチ、お客様の生活習慣に合わせて
社内の朝活の様子/女性の栄養管理を考えて開発した商品
女性の社会進出が当たり前の世の中になった一方で、年齢やライフイベントに応じた栄養補給や体調管理も重要と考えており、私たちはお客様、従業員の健康にも貢献していきたいと考えています。
私たちはこれまでに、女性が不足しがちな葉酸・鉄・食物繊維などの栄養素を含みオーガニック豆を使った「ダルーラ」スープシリーズを発売しました。また、手軽にたんぱく質(植物性)、ホット成分(ブラックジンジャーエキス)、そしてミネラル(鉄、カルシウム、マグネシウム)が摂取できる「プロポ
プロテイン」を発売。現代女性の体調管理を応援していきます。