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再生医療

再生医療

私たちは、再生医療という新しい治療手段を用いることで、アンメットメディカルニーズ(いまだに治療法が見つかっていない疾患に対する医療需要)に対応したいと考えています。

そこで、研究開発として、再生医療に用いる細胞の最適化、細胞の製造方法や品質試験方法の最適化、臨床試験に進めるための製剤化、最適な投与方法の検討、これらを踏まえた安全性および有効性の確認など、患者さんに投与する前に必要な様々な課題を乗り越えねばなりません。さらに、これらの課題解決の後には、臨床試験として実際にヒトでの効果を確認する必要があります。
これらの非臨床研究から臨床試験までを一貫してシームレスに進めることが重要と考え、研究と開発が一体となっております。

このような体制により、リバーストランスレーショナルリサーチ(臨床開発から得られた知見を基に行う基礎研究)も可能となり、研究開発領域を拡大させています。

研究事例紹介

より良い細胞の製造方法を求めて

CPC作業と自動機(ロボットアームズ)

自動培養装置

自動培養装置

生きた細胞をクスリとして製造する場合、低分子薬などとは違った課題があります。例えば、私たちが開発する脂肪由来間葉系幹細胞を使ったクスリの場合、原料となる脂肪組織のバラつき、細胞を増やすために使う培養液(以下、「培地」)のバラつき、細胞を増やす作業者(以下、「培養士」)のバラつきなどがあります。
細胞を増やすために使う培地のバラつきは、そこに加える栄養因子、とりわけ動物由来成分のウシ血清に起因します。
そこで、私たちはウシ血清を用いない培地を自社で開発・製造し使用しています。このオリジナルの培地は、従来法と比較し短期間に沢山の細胞を増やすことが可能であることが示されています。

培養士のバラつきについては、教育訓練にて技術水準を一定以上に保つことで対応しています。
また、手作業の工程を出来るだけ少なくしてバラつきを抑えると共に、生産量の拡大も目指し、24時間稼働可能なロボットによる自動化システムの開発にも成功しました。

私たちは、再生医療を広く社会に普及させたいという想いのもと、外販用としての培地や自動化システムの開発にも力を入れています。

細胞の確実な品質試験の方法を求めて

品質試験への拘り

ヒト脂肪由来間葉系幹細胞のプロファイル

ヒト脂肪由来間葉系幹細胞のプロファイル

生きた細胞をクスリとして患者さんへ届けるためには、細胞が想定通りに製造され、求められる品質を満たしているかを確認する必要があります。品質をどのように担保するかは、従来の低分子薬とは違った考え方が必要であり、課題でした。

私たちは、専門家や規制当局との相談を重ねながら確実に品質を担保する仕組みを構築してきました。
原料である脂肪組織の受入れ試験、製造工程内で生まれる中間品を用いた試験、最終製品を用いた試験など、一つの製品を生み出すために実施される試験の数は膨大となります。これら一つ一つの試験について、試験方法の手順を定め文書等を整備してきました。
また、クスリの有効性や安全性にかかる重要な品質特性の特定と試験方法の確立も課題の一つです。間葉系幹細胞は、動物試験にて様々な疾患に対する有効性が示されているものの、その作用機序については十分に理解が進んでいないことが、その理由です。

私たちは、アカデミアとの共同研究や社内での基礎研究を進めながら、このような課題にも取り組んでいます。

再生医療の科学的根拠の確証

臨床試験の実施

ヒトの細胞を用いる再生医療では、動物に対しては拒絶反応を示す確率が大変高いことから、動物試験の結果から患者さんで起こることを推測することが難しいといった課題があります。
動物試験で安全性と有効性が確認できたとしても、実際の患者さんで確証しなければ、医療として提供することは出来ません。
再生医療は効果に対する期待も高いことから、臨床試験を進める際には、どれほど有効な治療かを実証するパラメーターの設定が大切な検討事項となっています。

私たちは、未だに治療方法がない非代償性肝硬変(肝臓の再生能力では補えない肝硬変)や新型コロナ感染に伴う重症肺炎を始め様々な疾患に対して臨床試験を進めています。もちろん動物試験で確認を取りますが、実際にヒトにおいてどのようなメカニズムで効果があるのかもあわせて検証する必要があります。
これらの目的に合わせた臨床試験計画を作成し、医療機関とタッグを組んで臨床試験を推進することが大切です。
さらに、臨床試験は一つの疾患に対して、一つの試験ではなく、時には、確認すべき主要項目を分けて複数の臨床試験を戦略的に組んでいく必要もあることから、様々な情報を加味して総合的に臨床試験計画を立案する必要があります。
特に、再生医療分野では臨床開発のノウハウが蓄積されていないことから知恵を出し合いながら試行錯誤で進めています。

さらに、これらの臨床試験で得られた知見をフィードバックし、新しい再生医療の開発へとつなげていくといったサステイナブルな開発(循環型開発)も重要と考えています。

開発パイプライン
開発品 対象疾患 非臨床 第I相 第II相 第III相
ADR-001 肝硬変 肝硬変
腎疾患 腎疾患
肺線維症 肺線維症
新型コロナ肺炎 新型コロナ肺炎
重症下肢虚血 重症下肢虚血
ADR-002K 重症心不全 重症心不全
UDI-001 神経疾患 神経疾患

2021年3月31日 現在

次世代細胞治療に向けて

基礎検討

間葉系幹細胞は、抗炎症効果が高く、がん化のリスクが低いなどの利点があり、この細胞を用いた細胞治療薬の開発は世界中で行われています。
一方で、作用メカニズムについて十分に解明されておらず、間葉系幹細胞が有するどの機能がどの対象疾患に対して効果を発揮するのかを明らかすること、対象疾患毎に作用メカニズムを理解することは課題となっています。

また、間葉系幹細胞が有する治療効果を十分に発揮させるために、関与する遺伝子の発現制御や、投与方法の最適化も重要な研究テーマと考えており、私たちも独自の技術で機能付加させた細胞を作りだし、その有効性を薬効薬理試験で評価しています。

加えて、アカデミアの最先端知見をいち早く取り入れた再生医療の実用化のために、国内外の研究所や大学との共同研究も推進しています。
間葉系幹細胞のみならず、iPS細胞やヒトES細胞、体性幹細胞などを用いた基礎研究に取り組み、次世代再生医療の開発を目指します。