検査薬・デバイス

1993年に日本初の一般用医薬品として発売されたチェッカー

1980年代の日本では、妊娠検査薬は一般用医薬品として認められておらず、女性が自ら妊娠を確認することは容易ではありませんでした。1985年には、米国より医療用妊娠検査薬「チェッカー」を導入し、薬局・薬店での販売を開始しました。
ロート製薬は「女性が自分の体を自分で知る」ことの重要性を訴え続けるとともに、検査薬のOTC化の議論にも参画し、1992年には日本初の一般用妊娠検査薬「チェッカーST」の承認を取得し、発売しました。
発売当初は知識不足や偏見も多く見られましたが、相談窓口の設置や啓発活動を通じて理解を広げ、妊娠の早期確認の普及に貢献しました。

その後も私たちは、妊娠検査薬をはじめとする検査薬の改良を続けてきました。これらの抗体技術や製造ノウハウは、現在ではインフルエンザウイルスや新型コロナウイルスなどの感染症検査薬にも展開され、ロート製薬の検査薬開発の基盤となっています。
さらに、男性が妊活に向き合う第一歩として、運動精子濃度をチェックする製品の開発にも至りました。

検査薬開発における技術革新

ロート製薬の検査薬開発における技術革新の特徴は、抗体づくりから製品化までを一貫して自社で手がけている点にあります。

2026年現在の妊娠検査薬、排卵日予想検査薬「ドゥーテスト」ブランド

1987年より、妊娠検査薬においては、妊娠尿に含まれるホルモンであるhCGを高感度かつ特異的に検出するため、遺伝子組換え技術を用いた抗原設計から見直し、独自の抗体開発に挑戦しました。試行錯誤の末、目的とするhCGのみに明確に反応する抗体を確立し、尿をかけるだけで判定できるワンステップのイムノクロマト検査薬としての実用化に取り組みました。
その結果、1993年には初の自社開発・自社製造となる一般用妊娠検査薬「ドゥーテスト・hCG」を発売しました。

さらに、誰でも使いやすい妊娠検査薬とするため、判定時間の短縮やコスト低減にも注力しました。
部材や構造を工夫することで、従来は長時間を要していた判定を、約1分という短時間で行えるようにしました。こうした技術は、排卵日予測検査薬の自社開発・自社製造にも応用され、排卵期の尿中に増加するホルモンであるLHを検出する新たな検査薬の実現につながりました。

また、使いやすさを最大限に追求し、持ちやすく尿ハネを抑制しながらも、判定不能や失敗を起こさず検査ができるよう、容器形状にもこだわっています。

1990年代から続けてきた研究開発。検査精度とユーザビリティの両立を目指した技術的な挑戦は、妊活に寄り添う検査薬開発を今なお支え続ける重要な礎となっています。

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「dotest®スマートフォン用運動精子濃度テストキット」の精度評価

晩婚化の進行により、男女ともに妊孕性が低下する年代で妊娠を望むカップルが増えています。
不妊の原因は男女それぞれに同程度存在するにもかかわらず、妊活における受診や検査は女性側に偏りがちで、男性側の課題に気づく機会が遅れるケースも少なくありません。

dotest運動精子濃度テストキット

私たちは、「妊活はふたりで向き合うもの」という考えのもと、男性が自ら状況を知り、最初の一歩を踏み出すきっかけとなる検査のあり方を模索しました。
そこで着目したのが、自宅でスマートフォンを用いて簡便に行える運動精子測定です。医薬品ではないものであっても、科学的な信頼性を妥協しないことを開発の軸に据えました。

本キットは、大学病院の協力のもと精度評価を実施し、臨床検査(検鏡)との高い相関を確認しています。
健常人精液検体では相関係数0.74を示し、自然妊娠可能な最低ラインとされる運動精子濃度670万/mL付近においても、スマートフォンを問わず高い相関が確認されました。

私たちは、エビデンスに裏打ちされた検査技術を通じて、不安に寄り添い、行動を後押しする妊活の新たな選択肢を提供しています。

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感染症キットの開発~製造について

2020年、新型コロナウイルスによるパンデミックが発生しました。当時、コロナ検査のゴールドスタンダードはPCRでしたが、検査数の少なさが大きな課題となっていました。
日本では未知の感染症流行の経験が乏しく、検査体制の整備の遅れが指摘されていました。PCRは高感度である一方、検査に時間を要し、速やかに判定できないという欠点があります。
これに対し、イムノクロマト法を用いた抗原検査は感度では劣るものの、大型設備を必要とせず、迅速に判定できる利点があります。

私たちは、妊娠検査薬や排卵日検査薬、インフルエンザ迅速抗原検査薬など、長年にわたりイムノクロマト製品の開発製造に携わってきました。その中で、開発から製造に至るまでのイムノクロマトに関する技術やノウハウを蓄積するとともに、開発部門と製造部門が常に近い距離感で連携しながらものづくりを行ってきました。

こうした背景を活かし、新型コロナ迅速抗原検査の開発に着手しました。
開発と並行して工業化検討も同時に進め、薬事承認後に速やかに販売できる体制を構築した結果、開発着手から1年足らずで製品を発売することができました。これは、開発と製造が一体となって取り組んできた当社ならではの強みが発揮された事例であると考えています。

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